オックスフォード大学数学研究所教授のマーカス・デュ・ソートイ氏は、著書『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』(SB新書)の中で、学校で習う一次方程式が日常生活、特に婚活や家探しなどの人生の決断に応用できると述べている。同氏によれば、数学的な思考法を用いることで、理想の相手に出会う確率を最大化できるという。
一次方程式の実用性:古代中国から現代へ
デュ・ソートイ教授は、線形(一次)方程式の概念が約2000年前の中国の数学書『九章算術』にまで遡ると指摘する。この書物には、貿易、賃金、税金など実用的な246の問題が収録されており、線形方程式を用いた解法が含まれている。例えば、5グラム、10グラム、15グラムの分銅だけを使って果物の重さを量る問題では、プラム1個と桃3個が15グラム、プラム2個と桃1個が10グラムと釣り合うという情報から、プラム1個が3グラム、桃1個が4グラムであることを数学的に導き出せる。これは線形計画法の一種であり、直接計測せずに答えを導く数学の面白さを示している。
婚活に応用する「ネイピア数」の戦略
デュ・ソートイ教授は、人生の重要な決断、特に結婚相手の選択において、数学の「ネイピア数(e)」が役立つと説明する。具体的には、全体の候補者のうち「1÷e」(約36.8%)の人数まで見送り、その後はそれまでに出会った中で最も良い相手と出会った時点で決断するという戦略を推奨。この方法により、理論上は約3回に1回(約37%)の確率で最高の相手を選べるとしている。これは「最適停止問題」として知られる数学的な手法であり、婚活パーティーやマッチングアプリでも応用可能だ。
数学的思考がもたらす人生の最適化
同教授は、線形方程式やネイピア数に代表される数学的思考法は、単なる学問ではなく、日常生活の様々な場面で意思決定を最適化する強力なツールだと強調する。例えば、家探しや転職の際にも同様の戦略を適用することで、後悔の少ない選択が可能になるという。デュ・ソートイ教授は「学校で習った一次方程式は、暮らしにも役立つ」と述べ、数学の実用性を訴えている。



