8秒間の長湯:祖父との思い出とエイトの謎
8秒間の長湯:祖父との思い出とエイト

私は前世でカラスだったのか、風呂がとにかく短い。一方祖父はラジオを持ち込み、日の明るいうちからゆったりまったり湯船につかるのが常だった。

祖父との思い出

小さい頃、家に泊まりに行くと祖父は私が楽しんで湯船につかれるよういろんな工夫をしてくれた。最初に与えられたミッションは肩までつかって10まで数えること。だがそれもすぐにできるようになり次は英語で数えるように言われた。

「わん、つー、すりー」と初めは調子が良いのにいつもなぜか私は7のあとでつまずいた。「えーっと、えぇーと、えぃっと」。必死に考える私を見ながら祖父は目を細めてこう言うのだった。「ほぼ言うてるがな」。

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葬儀での出来事

そんな祖父が先日亡くなった。葬儀の場、眠る祖父にお一人ずつ声をかけてあげてくださいといわれた。人前で話すのが苦手な私は焦った。言おうと思った言葉をどんどん前の人に取られていく。どうしよう。えーっと、えーっと…。ふと、あの日の祖父の顔が浮かんだ。おじいちゃんならきっとじっくり私の言葉を待ってくれるだろう。

その日は結局何も言わなかった。そして私は今日もエイトの続きを考えながら、湯船の中長い長い8秒を過ごす。

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