佐賀県有田町の今右衛門窯に隣接する「今右衛門古陶磁美術館」で、学芸員の資格を持つ十四代今泉今右衛門さんが館長を務めている。江戸時代の有田焼を中心に、昭和初期から今泉家が制作の見本として買い求めた約800点を所蔵する。
過去の作品から学ぶ「墨はじき」の技法
過去の作品を保存・研究した成果は「そのまま自分に返ってきている」と語る。特に追求する「墨はじき」は、墨で描いた文様を焼成して白抜きに反転させる手間のかかる技術だ。自身は主役級の表現として展開したが、江戸時代には主役の文様を引き立てる背景に用いられていた。「背景にこれだけの手間暇をかける考えが、昔の手仕事にはあった」と実感している。
中国・景徳鎮での気づき
今年6月、中国を代表する陶磁器の産地・江西省景徳鎮の大学で講義した際、「日本では目に見えにくいところにも手間をかける」と説明すると、現地の関係者は「我々はしない」と断言するように言ったという。「優劣の問題ではなく、繊細さは日本独自の文化なのだろう」と理解した。
人間国宝としての使命
人間国宝として大事なことは「後継者を育成し、その文化を伝えること」と、人間国宝の先輩に教えられた。陶芸の伝統を知ってもらうため、地元の佐賀大のほか、愛知県や石川県の大学などで講義を重ねている。



