俳優の吉永小百合が、映画出演125本目の記念作となる『母の待つ里』で主演を務めることが発表された。浅田次郎の同名小説(新潮文庫)を映画化し、2027年秋に公開予定。脚本を小山薫堂、監督を前田哲が担当する。
原作は2022年刊行、発行部数26万部超
原作は、浅田が現代の日本を舞台に描き、2022年に刊行された長編小説。発行部数は26万部を超えている。『鉄道員(ぽっぽや)』『地下鉄(メトロ)に乗って』『壬生義士伝』など、浅田作品はこれまでにも数多く映画化されてきたが、吉永が出演するのは今回が初めてとなる。
物語の中心は“母”ちよ、孤独な3人の里帰り
物語の中心となるのは、吉永演じる“母”ちよ。大企業の社長として孤独を抱える松永徹、定年と同時に妻から離婚された室田精一、親を看取ったばかりのベテラン医師・古賀夏生。人生に疲れた3人は、“母”の待つふるさとへ里帰りする。囲炉裏端に並ぶ手料理や昔話、ちよと過ごす時間が、それぞれの心を少しずつ変えていく。血縁を超えた“心の母”と、現代を生きる人々の孤独を描く物語となる。
吉永、浅田、小山、前田のコメント
吉永は、「好運に恵まれて今日まで歩いて来ました。『母の待つ里』は、私にとって125本目の映画です」とコメント。「浅田先生原作の映画に初めて出演させていただくことになり、うれしくて舞い上がっています」と喜びを語った。ちよ役については、「前田監督の若々しいエネルギーをしっかり受け止め、“心の母”をひたむきに演じたいと、祈るような思いです」と意気込みを明かしている。
浅田も「吉永小百合さんに『母の待つ里』のちよを演じていただくのは、昭和の時代に生まれ育ったひとりの小説家として、望外の幸せを感じます」とコメント。ちよについて「虚も実もない、あらたかな自然そのものです」と表現した。
脚本を務める小山が映画脚本を手がけるのは、『湯道』(2023年)以来。小山は本作を「都会の暮らしに疲れた大人たちを癒やす現代のおとぎ話」と説明し、「“ふるさと”への思いをクリエイティブの根幹にしてきた田舎者の自分が、“ふるさとを持たない人たちの心を描く”。これは私にとって一つの大きな挑戦でした」と語っている。
前田監督は、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018年)、『老後の資金がありません!』(2020年)、『九十歳。何がめでたい』(2024年)などを手がけてきた。初タッグを組む吉永について、「心の中にいつも他者へのギフトを持っていられる方」と述べ、「悲しみも苦しみも寂しさも包むようにすべてを受け入れて、命ある限り懸命に“母”として生きていく」本作のちよと重なると話した。
撮影は岩手県遠野で進行中、2027年1月に終了予定
撮影は岩手県遠野を中心に今年5月からスタート。春と夏の撮影は7月に終了しており、今後は秋と冬の撮影を行う。四季の移ろいとともに登場人物の心情や関係の変化を捉え、2027年1月の撮影終了を予定している。



