塚本晋也監督、ベネチアで新作上映「戦争でヒロイズム語るのは危険」
塚本晋也監督、ベネチアで新作上映「戦争でヒロイズム語るのは危険」

イタリアで開催中の第83回ベネチア国際映画祭の長編コンペティション部門で、塚本晋也監督の最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」が4日夜(日本時間5日未明)に公式上映された。ノンフィクションを基に、ベトナム帰還兵の壮絶な戦争トラウマを描く作品で、日本では11日に公開される。

加害とトラウマに向き合う物語

元米海兵隊のベトナム帰還兵アレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、破裂音や腐敗臭におびえパニックとなり、日常生活が困難となっていた。治療にあたる精神科医ニール・ダニエルズ(ジェフリー・ラッシュ)に体験を語るうち、見境なく人を殺した加害の罪と、戦場で受けた心の傷に向き合うことになる。

原作は同名のノンフィクション。フィリピンで死線をさまよう日本兵を描いた2014年公開の監督作「野火」の制作過程で出合った。

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監督が語る戦争の危険性

「加害体験とそれによるPTSD(心的外傷後ストレス症)が、家族や子世代まで傷つける深刻な問題として克明に書かれ、衝撃を受けた」と塚本監督。「戦争を物語にすると、空襲などを被害者目線で描くか、戦う兵士を英雄にするか、この二つに偏る。でもきな臭い今の時代、戦争でヒロイズムを語るのはとても危険。戦争はただの殺し合いで、生きて帰っても加害者として苦しみが続く。それを映画にしなければと思った」と語った。

「野火」で戦場の地獄を描き続けてきた塚本監督の新作は、現地で大きな歓声で迎え入れられた。

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