ハンナ・ベルイホルム監督の最新作『ナイトボーン -夜哭-』(公開中 配給:NOROSHI、ギャガ)の本編映像と監督インタビュー、コメント映像が到着した。
ファンタジア国際映画祭でW受賞の快挙
『ナイトボーン -夜哭-』は、理想の子育てを夢見る新婚の夫婦が恐怖に巻き込まれていくチャイルド・スリラー。第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門でワールドプレミア上映されると、「何一つとして型にはまらない予測不能な展開」「『ローズマリーの赤ちゃん』の再来」と観客・批評家ともに鮮烈な衝撃を与え会場を騒然とさせた。
7月26日(日本時間)には、カナダ・モントリオールで開催された北米最大級のジャンル映画祭「ファンタジア国際映画祭」にて最優秀作品賞であるシュバル・ノワール賞を受賞、さらには最優秀演技賞にセイディ・ハーラがその栄誉を手にし、W受賞の快挙を果たした。同映画祭の審査委員チームは「一瞬たりとも目を離せない緊張感が全編を貫き、ラストに待ち受ける感情は、ほろ苦くも美しい。微笑みを浮かべながら、胸の奥に深い切なさが残る。観終えたあとも長く心に留まり続けるだろう」と高く評価している。
監督が語る、物語の原点と「本当のモンスター」
この度、ハンナ・ベルイホルム監督のオフィシャルインタビューが到着した。自身が母親となった経験から本作が生まれた背景や、サーガとジョンの夫婦関係に込めた思い、さらには近年世界的な盛り上がりを見せる北欧ホラーについて語った。
先日開催されたファンタジア国際映画祭では、本作が最優秀作品賞、主演のセイディ・ハーラが最優秀演技賞のダブル受賞に輝いた。満員の会場で観客とともに作品を鑑賞したベルイホルム監督は、「自分が望んでいたところで、観客が息を飲んだり、ショックを受けたり、リアクションしてくれた。それが私にとって一番のご褒美でした」と喜びを語る。
そんな本作の原点にあったのは、監督自身が母になったことだったという。「子供への愛情がある一方で、激しい怒りや混乱もありました。そうした感情をどう表現し、どう語ればいいのか。それがこの物語の出発点でした」と明かし、さらに男女問わずさまざまな親たちから子育ての経験を聞き、その声を物語へと積み重ねていったという。
そして、赤ん坊をきっかけに少しずつすれ違っていくサーガとジョンについて、監督は「この物語には本当の悪人はいません。ジョンの言っていることも、サーガの言っていることも、それぞれの立場では正しい。ただ、二人は違うものを見ている」と説明。互いを思っているはずなのに、気持ちはすれ違い、言葉は届かなくなっていく。「本当の気持ちを分かち合えないこと、そして相手の言葉に耳を傾けられないこと。この映画における本当のモンスターは、そのミスコミュニケーションなんです」と、本作に込めたもうひとつの恐怖を明かした。
実際に、観客によって本作の受け止め方は大きく異なるという。監督の知人夫婦が鑑賞した際には、精神科医である夫が「これは産後うつを見事に描いた映画だ」と分析したところ、妻が「違う!彼女は赤ちゃんのことをちゃんと分かっているのに、誰も彼女の話を聞かないことが問題なのよ!」と猛反論したという。ベルイホルム監督は、この夫婦の正反対の反応を楽しそうに振り返り、「まさに、いろいろな視点から見られるように作った映画なんです」と語る。
北欧ホラーの躍進と日本の観客へのメッセージ
そして近年、『ミッドサマー』(2019)『ボーダー 二つの世界』(2018)『イノセンツ』(2021)など、日本でも注目を集める「北欧ホラー」。ベルイホルム監督によれば、かつてフィンランドをはじめとする北欧では、シリアスなドラマこそが正統な映画とされ、ホラーなどのジャンル映画は公的な支援を得ることすら難しかったという。しかし、ジャンル映画を育成する取り組みが広がったことで状況は大きく変化。「今の北欧ホラーは、どの作品にもユニークさとオリジナリティがある。それがとても魅力的」とその躍進を喜び、自身が好きな作品として『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)を挙げ、「"スマートなホラー映画"の流れを作った初期の作品のひとつだと思います」と語った。
最後に日本の観客へ、「親である方なら、親として、そして夫婦としての感情に深く入り込める作品です。親でなくても、"自分は人と少し違う"と感じたことがある人や、コミュニケーションの中で迷子になった経験がある人にも、きっと何かを感じてもらえると思います」とメッセージ。さらに「もちろんジャンル映画が好きな人、そして『ハリー・ポッター』のルパートを観たい人もぜひ!」と茶目っ気たっぷりに付け加えた。
あわせて、ハンナ・ベルイホルム監督による日本独占コメント映像も公開となった。「『ナイトボーン -夜哭-』はスリル満点でありながら、フィンランド民話も取り入れた作品」と本作の魅力を語り、「母性と親の愛の物語です。ぜひ映画館でご覧ください!」とメッセージを寄せている。
衝撃の本編映像「クーラは笑わない」
さらに、サーガが我が子・クーラの異変を確信するきっかけとなる、衝撃の本編映像が公開となった。ジョンの両親が家を訪れ、クーラを囲んで穏やかな時間が流れる中、「クーラは笑わない」と不安を漏らすサーガ。義母は「世界で一番の幸せは母親になること」「愛を注げば大丈夫」と励ますものの、その言葉はどこかサーガには届かない。そんな矢先、隣の部屋からクーラの激しい泣き声が響き渡る。慌てて駆けつけると、クーラの手は真っ赤にただれ、そばには暖炉の火かき棒が落ちていた。ジョンは父親を責め立て、クーラを抱えて部屋を飛び出していく。しかし、父親は「触れたのは冷たい鉄だ」と言い放つ。火傷するはずのない冷たい鉄――その不可解な一言を聞いた瞬間、これまで我が子に抱いてきた違和感が一気につながったサーガは、堰を切ったように高らかな笑い声を上げる。その狂気じみた笑いは、ついに彼女が我が子の"ある真実"に辿り着いたことを予感させる、戦慄のワンシーンとなっている。
■ストーリー
子供を望む新婚夫婦サーガ(セイディ・ハーラ)とジョン(ルパート・グリント)は、理想の子育てを夢見て、サーガの故郷であるフィンランドの森深い田舎町へと移り住む。北欧神話の気配が今なお息づく、神秘的な森に抱かれながら結ばれた二人は、やがて待望の子供を授かる。愛する夫と我が子との幸せな暮らし――サーガは、その未来を信じて疑わなかった。
あの産声を聞くまでは――。この子は、「何かがおかしい」……生まれた我が子に拭いきれない違和感を覚えるサーガ。不安は次第に恐怖へと姿を変え、やがて狂気へと暴走していく。そしてサーガが辿り着く、恐るべき真実とは――。
■出演者
サーガ:セイディ・ハーラ
ジョン:ルパート・グリント
■スタッフ
監督:ハンナ・ベルイホルム
© 2025 Elokuvayh/ö Komee4a Oy, Filmai LT, Bluelight, Getaway.



