道枝駿佑が、10月23日公開の映画『うるわしの宵の月』で、学校中から「王子」と呼ばれる市村琥珀を演じた。やまもり三香の同名漫画を実写化した本作は、中性的な美しさとスマートな振る舞いから同じく「王子」と呼ばれてきた滝口宵(安斉星来)が、先輩の琥珀と出会い、初めての恋に向き合っていく物語だ。道枝自身、琥珀の端正なビジュアルと、その内側にある不器用さのギャップに惹かれていたという。
「王子同士の恋愛」という切り口に興味
「最初は原作漫画の琥珀がすごくきれいだなと思って。王子同士の恋愛という切り口にも興味が湧き、読み始めたらすごく面白かったんです。お互いに不器用で、相手のことを思って必死にもがいている。見た目と性格のギャップも面白くて、引き込まれていきました」
先に原作を愛読していただけに、琥珀役のオファーには喜びと同時にプレッシャーも感じていた。
「まさか自分が演じることになるとは思っていなかったので、すごくうれしかったです。その分、ハードルが高い作品になるだろうから、しっかりお芝居でお見せしなければ、と思っていました」
「実際に動いてみないと掴めない」役作り
ビジュアルを寄せるだけで役になれるわけではない。持ち物や小物に至るまで監督やプロデューサーと丁寧に話し合い、制服を着て現場に立つことで、徐々に輪郭を掴んでいった。
「撮影を重ねていくにつれて、琥珀になっていった実感がありました。僕の場合は、実際に動いてみないと掴めないんだなと思いました」
現場で自然に生まれた動きも大切にした。例えば、宵に忘れ物を届け、帰り道を一緒に歩く場面。「宵ちゃんの忘れ物を届ける方が重要じゃん」と言いながら顔をのぞき込む仕草は、演じる中で自然と生まれたものだった。
「琥珀は割と駆け引きをするタイプだと思ったので、宵ちゃんをちょっとドキッとさせられたら、と意識していました。僕自身は全く駆け引きができないタイプなんですけど(笑)」
「完璧ではない」等身大の自分
琥珀と自身の共通点を挙げるなら、「素直に自分の気持ちを言えないところ」。それ以外は「全くない」と笑う。演じる中で見えてきたのは、琥珀のピュアさと、考えすぎてしまう性格。そして、感情をあまり顔に出さなかった琥珀が、宵への思いを深めるにつれて、自分を隠せなくなっていく変化だった。
「宵ちゃんへの信頼が増していくにつれ、自分の情けない部分や弱い部分もさらけ出していく。出会った頃のような余裕がなくなって、後半は情けないところが存分に出ていると思うので、前半とのギャップも楽しんでもらえたらいいなと思います」
容姿端麗な「王子」の不器用な内面も描く本作。常に脚光を浴びる道枝自身も、周囲が抱くイメージと本当の自分とのギャップを感じることがあるという。
「ファンの皆さんや周りの方からは、『すごく真面目で、人としてちゃんとしている』と思われている気がするんです。とてもありがたいことなのですが、僕も人間なので完璧ではありません(笑)。疲れが少し顔に出る時もありますし、100%の力で取り組んだのにうまくいかないこともあります。そういうところも含めて、僕を知っていただけたらいいなと思います」
水沢林太郎との共演が支えに
今回の撮影では、「自分が主演だからというのもあると思うんですけど、あまり気が抜けない感じがして、ずっと気を張っていました」と振り返る。
そんな現場で心強い存在となったのが、恋のライバルとなる“第3の王子”こと大路拓人を演じた水沢林太郎だった。水沢とはプライベートでも親交が深く、道枝にとって「あまり気を使わずにいられる相手」だ。
道枝が出演を伝えた際、水沢から「通行人でもいいから出させてくれよ」と冗談交じりに言われていたやり取りが、まさかの共演へと結実。撮影期間中はなにわ男子のライブとも重なり、慌ただしい日々を送っていた道枝にとって、「何かあったら言ってね」と自然体で声をかけてくれる友人の存在は、大きな支えになったという。友人同士で恋のライバルを演じることにも「照れくさいということはなかったですね」と、肩の力を抜いて臨むことができた。
完成した映画には、観る者の心を心地よくくすぐる場面がいくつもあるという。
「最近キュンキュンしていない、という方がいらっしゃれば、この映画でキュンキュンしてもらえたらいいなと思います」