ドラマ『銀河の一票』(フジテレビ系)が6月29日に最終回を迎えた。都知事候補・月岡あかりを演じた野呂佳代と、元選挙秘書・星野茉莉役の黒木華が織りなす“選挙エンターテインメント”は、全11話にわたって放送された。筆者は杉並区民として、このドラマと現実の選挙が奇妙なタイミングで交差した体験をした。
現実とフィクションの架け橋
6月、杉並区長選の告示日。近所を歩いていた筆者は、候補者のポスターが並んだ選挙掲示板を見て思わず笑ってしまった。掲示順のくじを引くために、まず順番を決めるくじを引く——ドラマの中で投げかけられた「それって、意味ありますか?」という言葉が頭をよぎったからだ。現実の選挙風景が、フィクションの一場面と重なった瞬間だった。
そして、実際に一票を投じた翌日、ドラマの最終回を視聴。ラストには「綺麗ごとは、綺麗なこと」という印象的な言葉が残された。フィクションは現実から影響を受けるが、受け手が感じる重なり方は、作り手の意図とは別の場所で生まれる。筆者にとって『銀河の一票』は、そんな不思議なタイミングで現実と交差したドラマだった。
黒木華と野呂佳代の化学反応
本作はカンテレ制作で、政界を追われた選挙秘書の星野茉莉(黒木華)が、スナックのママ・月岡あかり(野呂佳代)を東京都知事候補に担ぎ上げるストーリー。政治ドラマといえば権力を持つ男たちの攻防が定番だが、毒気や計算高さとは無縁の政治素人のスナックママと、知略で支える元秘書という女性2人を主軸に置いた点が新しかった。
黒木華が体現する静かな責任感と、野呂佳代の人間的な体温。この化学反応がなければ成立しなかったバディだ。2人の掛け合いは、選挙戦の緊張感の中にも温かみがあり、視聴者を引き込んだ。
最後までわかりやすい「悪役」を置かなかった物語
本作は、わかりやすい悪役を最後まで置かなかった点も特徴的だ。候補者たちはそれぞれの信念を持ち、単純な善悪では語れない。視聴者は「一票を投じるとは何か」を考えさせられる。最終回の「綺麗ごとは、綺麗なこと」という言葉は、理想を嘲笑う風潮へのアンチテーゼとして響いた。
現実の選挙でも、ドラマのような理想と現実の狭間で悩む有権者は多い。筆者もまた、ドラマを見終えた後、自分の一票の意味を改めて考えた。



