小説家の湊かなえ氏が、介護をテーマにした新作『C線上のアリア』を発表した。人間の醜い部分から目をそらさない作風で知られる著者による、婚家に縛られた女性たちが織り成す介護ミステリだ。
主人公は夫の母と同居する中年女性
主人公は夫の母と同居する中年女性、美佐。事故死した両親の代わりに自分を育ててくれた叔母が認知症になり、一人暮らしの家がゴミ屋敷になっていると連絡を受け、高校3年間を過ごした町に20年ぶりに帰ってくる。長年、帰れなかった理由は、「主婦は家にいて家族に尽くすもの」「実の親でもないのに、会いに行く必要はない」という考えの婚家に縛られていたからだ。
叔母の人生の「上巻」が明らかに
やがて美佐は叔母を施設に入居させ、ゴミ屋敷の片づけに着手する。そこで発見したあるものから、叔母の人生の前半――人生を小説にたとえるなら上下巻の「上巻」――が明らかになっていく。鍵となるのが1980年代に赤と緑の表紙で大ベストセラーとなった小説だが、そのタイトルは本書で確かめてほしい。
湊かなえ氏は1973年、広島県生まれ。2007年、「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。09年には、同作を収録する『告白』が本屋大賞を受賞した。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞している。



