フィギュアスケートの羽生結弦氏が言及したことをきっかけに、「反出生の思想家」として知られるエミール・シオランの名言が静かなブームを呼んでいる。シオランの言葉は、ありとあらゆるタイプの「ダメ人間」がありとあらゆる場面で頼れるものだ。絶望している人、目立ちたくても目立てない人、朝弱い人に向けたネガティブなのに元気が出るその思想を、『生まれるのも生きていくのもめんどくさい!超訳シオランの言葉』(済東鉄腸著)から紹介する。
絶望は「シャツ」のように着替えればいい
超訳:生きることに慣れるためのコツは? シャツ着替えるみたいに絶望もとっかえていくこと。逐語訳:人生に適応する秘訣は? 絶望をシャツのように変えたこと。紹介者にとって、一番好きなシオランの呟きはこれかもしれない。終わりのない、あまりに深すぎる鬱に打ちひしがれている時、この言葉を読んで衝撃を受けた。絶望を筆頭に、怒りや悲しみ、憎しみや不安という負の感情は重苦しく、それを抱え込むと象にのしかかられているみたいにベッドから動けなくなる。しかしシオランは、絶望をシャツのように着替えることで、その重さから解放されることを示唆している。
「バズらない人」こそがこの世界の良心
シオランはまた、目立たないことの価値を強調する。現代社会ではSNSで「バズる」ことが称賛されがちだが、シオランは「バズらない人」こそがこの世界の良心だと述べる。注目を浴びない静かな生き方にこそ、真の価値があるという視点は、多くの現代人に安堵を与える。
朝活する元気があるなら悪事の方が向いている
朝弱い人への言葉として、シオランは「朝活する元気があるなら悪事の方が向いている」と皮肉を込めて語る。これは、無理にポジティブになろうとする社会の風潮に一石を投じるものであり、自分のペースで生きることの大切さを教えてくれる。ネガティブな表現ながら、なぜか元気が出るその逆説的なメッセージが、現代人の心に刺さる理由である。



