「継体天皇」著者が語る古代史の面白さと世襲王権の始まり
「継体天皇」著者が語る古代史の面白さと世襲王権の始まり

6世紀前半に即位した継体天皇を題材にした書籍『継体天皇』(中公新書、1100円)が話題を呼んでいる。著者の河内春人氏(関東学院大教授)は、古代の大王が複数の王族集団から選ばれていた時代から、一つの血統を重視する「世襲王権」が始まった転換点に継体天皇が位置づけられると指摘する。

世襲王権の始まりと継体天皇の実像

本書は、史料批判と綿密な検証から「始祖」たる継体天皇の実像を描く。刊行は皇室典範の改正議論が盛んな時期と重なり、6刷、6万部を突破した。

「狙ったわけではなく、天皇制の歴史への関心が高まった時期の刊行となり、驚くほどの反響となった。古代史も捨てたものではないですね」と河内氏は笑う。

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研究の低調と近年の評価

継体天皇の6世紀は、「倭の五王」の5世紀と、大化の改新などの7世紀という古代史の画期に挟まれ、研究は低調だった。ただ近年は、世襲王権によって政権の統一が急速に進んだという評価になりつつある。

本書の基本史料は『日本書紀』と『古事記』。特に『日本書紀』の記述には編さんによる「作為」が多分にあるとされる。たとえば、継体天皇の人柄や即位などの記述が中国史料と類似している点だ。中国の名君の記述をもとに、継体天皇を名君になぞらえようとした思惑があるとみている。

「編さん者も世襲王権の始祖を歴史の節目として注目していた」と考察する。

著者の歩みと古代史の魅力

河内氏は1970年生まれ。子供の頃から歴史好きで、発掘する考古学より「部屋で本を読む方が良く、歴史学に進んだ」。専門は日本・東アジア古代史で、記紀を批判し、中国との外交が途絶えた継体天皇の時代の実相を浮かび上がらせた。

日本古代史は「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録決定でも話題だ。「古代史の面白さは始まりを考えること。国家や天皇の本質や本源が何かを考え、現在を知る手がかりにつながる」と語る。

息抜きは古書の街・神保町散歩だが、最近は落ち着いて回ることができず残念だという。

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