ドイツ人医師で博物学者のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが江戸時代に現在の滋賀県甲賀市にあたる地域で購入し、オランダに送ったトキの剥製が、約200年ぶりに「里帰り」し、県立琵琶湖博物館(草津市)で展示が始まった。18日の展示開始早々、来館者が興味深そうに観賞している。
企画展の一環として公開
この展示は、開館30年記念の企画展「博物館はタイムマシン~魚類学者がみた琵琶湖~」の一部として実施されている。同企画展では、江戸時代以降の琵琶湖の環境変化を、魚の標本など約230点を通して考察する内容となっている。
シーボルトは江戸後期に膨大な動植物標本を収集し、オランダのライデン自然史博物館(現・ナチュラリス生物多様性センター)などへ送り、日本の生態系を世界に紹介した。著書『江戸参府紀行』には、1826年に現在の甲賀市土山町大野でトキの剥製を2点購入したと記され、「ここいらの田畑によく姿をみせる」と紹介している。
学名「ニッポニア・ニッポン」の基となった標本
この剥製は、新種の特徴を調べるための重要な標本となり、後に学名「ニッポニア・ニッポン」が付けられた。今回の里帰り展示は、琵琶湖博物館が、シーボルトが収集しオランダで保管されていた琵琶湖固有種ゲンゴロウブナなど計4点の標本の貸し出しを依頼したことで実現した。
18日には開幕式典が行われ、亀田佳代子館長らがテープカットした。また、事前学習を行った同市立大野小学校の児童たちも訪れ、学芸員の説明を受けながら剥製を観賞した。
児童の感想と展示期間
同小学校5年の男児(11歳)は、家の前の田んぼでシラサギなどを見かけるといい、「同じように、このトキを、200年前の先祖が見ていたかもしれないと思うとわくわくする」と話した。
企画展は11月23日まで開催される。開幕を記念し、亀田館長らがテープカットを行ったほか、シーボルトが持ち帰ったゲンゴロウブナなどの標本も同時に展示されている。



