ビートルズに人生を捧げた75歳、62年の“推し活”の果てに起きたこと
ビートルズに人生捧げた75歳、62年の“推し活”の果て

「東京に家が建つお金をつぎ込んだ」と語る75歳の男性がいる。彼の名は岡本さん。62年にわたってビートルズに人生を捧げてきた“究極の推し活”の果てに、横浜に「ビートルズ文化博物館」を設立した。館内には、自身が収集した2万点ものコレクションの一部が展示され、ファンにとっての聖地となっている。

イエローサブマリンの巨大モニュメントが目印

博物館の入り口でひときわ目立つのが、横4メートル、縦2.8メートルの「イエローサブマリン」のモニュメントだ。これは2004年に横浜スカイビルで開催されたアートイベント「スカイ・ビートルズ・クリスマス」で飾られていたものを、会期終了後に無償で引き取ったもの。現在は来館者の絶好のフォトスポットとなっている。1968年公開のアニメーション映画『イエローサブマリン』に登場する巨大な黄色い潜水艦を模したこのモニュメントについて、岡本さんは「同名の曲は、潜水艦をみんなで一緒に乗る楽しい船に変えた、4人らしい平和へのメッセージ」と語る。

館内は、椅子に座ってドリンクを飲みながら書籍を楽しんだり、展示を眺めたりと、誰もが思い思いの時間を過ごせる空間だ。展示は数カ月に一度入れ替えられ、企画から飾り付けまで全て岡本さん一人が担う。入館料は「支援費」という名目で300円。維持管理費にも満たない金額だが、個人が収集した貴重な2万点のコレクションの一部を楽しめる空間としては破格だ。

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全国からファンが集う聖地

この博物館を目的地に、日本全国からファンが訪れる。取材日は開館10周年を記念したリニューアルの初日で、奈良や京都からも熱心なファンが駆けつけていた。通算100回以上も足を運んでいる常連の猛者は、「ここに来たら10歳若返るわ」と言って笑う。京都から訪れた夫婦は、男性が大のビートルズファンで、先着20名限定のリニューアル記念チケットを手に目を輝かせていた。

心療内科で「ビートルズは好きですか?」

岡本さんが博物館の設立に乗り出したのは2015年。そのきっかけは、心療内科の診察室での出来事だった。母親の介護のため、地元の兵庫県赤穂市に約40年ぶりに戻った岡本さんは、東京でのデザイン会社経営やビートルズコレクターとしてテレビ出演を重ねた生活から一変、慣れない介護や心労が重なり精神的に落ち込んでいた。体調を崩し心療内科を訪ねた際、診察室で思わず口にしたのは「ところで先生、ビートルズは好きですか?」という言葉だった。自分の体調でも介護の悩みでもなく、またしてもビートルズのことだった。

岡本さんにとって、ビートルズは自分の一部のような存在だ。ファンクラブや会報誌を作ったのはビートルズが初めてだと語り、“推し活”文化はビートルズが作ったと言っても過言ではないと述べている。

有志との出会い

博物館設立には、有志との出会いも大きな力となった。詳細は続くページで紹介されるが、岡本さんの情熱に共感した人々が支援に動いた。現在も博物館は岡本さんの情熱とファンの支援によって運営され続けている。

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