一般社団法人日本自閉症協会は9日、公式サイトを更新し、漫画『みいちゃんと山田さん』(みい山)のアニメ化や漫画の問題点などに対する意見書を公開した。
作品概要とこれまでの経緯
講談社の公式漫画アプリ『マガジンポケット(マガポケ)』にて2024年9月から2026年8月16日まで連載された同作は、2012年の新宿・歌舞伎町が舞台。夜の街でキャバクラ嬢として働く山田さんと、何をやっても“ちょっと足りない”新人・みいちゃんの、不器用で愛くるしい女の子たちを巡る夜の世界の12か月を描いた物語。
ヤル気と元気はあるものの、漢字も空気も読めないみいちゃんは、周りから馬鹿にされ「可哀想」のレッテルを貼られてしまう。それでも、健気に働くみいちゃんの姿に、山田さんは徐々に心を惹かれていく…というストーリーで、愛らしいビジュアルとは裏腹に、行き場のない孤独や容赦のない現実を徹底的にリアルに描写している。
アニメ化が決まっているが、先月には一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会がアニメ化に対して意見書を公開。アニメ化を反対する内容ではなく、知的障害者をエンタメ化することに対しての懸念と詳細な説明を求めたもので、異例の意見書にネット上ではさまざまな声が出ていた。
意見書の内容
日本自閉症協会も「最終話を迎えた漫画『みいちゃんと山田さん』に対する意見」と題した意見書を公開し、同作のアニメ化について「年齢制限やだれもが視聴できる地上波でなければ良いとは考えません。このマンガの関係者の文化のもとで、アニメ化されることに強い危惧を抱くものです」と苦言を呈した。
続けて「障害のある人を守る当協会の立場から、障害のある人への揶揄や侮蔑、障害のある人のきょだいや家族に対してからかいといったことが起こらないように、また、貧困や障害という現実に存在する困難に対して商業的な成功(収益)や他人の不幸をおもしろがるための材料ではなく、必要な支援につなげられるように、皆様の一層のご理解をお願いします」と呼びかけた。
意見表明の理由と問題点
意見書では、このマンガではみいちゃんに障害があるとは明言されていないが、描き方や作者の発信から知的障害や発達障害があると推測できると指摘。障害のある人を守る立場から意見を求める声が届いていることや、「みいちゃん」が障害のある子を揶揄する言葉として使われる現実があることから意見を表明したと説明している。
また、全国手をつなぐ育成会連合会の意見書では、「みいちゃん」という言葉が知的障害や発達特性のある女性を揶揄・侮辱する言葉として使われている事例が複数報告されているとし、当協会にも自閉症の兄弟を持つ子が「学校でからかわれる」と心配しているとの報告があったことを明かした。
作品の問題点としては、夜職にまつわる問題や貧困や障害といった現実の困難が商業的な成功のための材料として扱われたこと、不幸なみいちゃんを「さらりとしたタッチ」で表現したことが揶揄する言葉に使われることにつながったと指摘している。
出版社への懸念とまとめ
さらに、講談社ヤングマガジン編集部の公式YouTube「ヤンマガ日常ch」で「みいちゃんが可哀想な目に遭うのを見たい」などのテロップが表示されたこと(8月1日に非公開化)や、出版社が涙を流し半裸の姿のみいちゃんのアクリルスタンドを「レア景品」として抽選プレゼントにしたことを挙げ、「出版社自らが不幸を商業的な価値で見ていると言わざるを得ません」と批判した。
その上で「出版社はネット配信時代の監修体制を整える必要があるのではないでしょうか」と提言し、「障害のある人への揶揄や侮蔑、障害のある人のきょだいや家族に対してからかいといったことが起こらないように」と理解を求めて意見書を締めくくった。



