トヨタ自動車とNTTが、自動運転に必要な次世代通信基盤の開発で協業する方向で調整していることが、複数の関係者への取材で明らかになった。両社は2025年にも実証実験を開始し、2030年までの実用化を目指す。
協業の背景と目的
自動運転技術の実用化には、車両同士や道路インフラとの高速・大容量通信が不可欠だ。現在の4Gや5Gでは遅延や帯域幅が課題となっており、より高度な通信基盤が求められている。トヨタとNTTは、それぞれの強みを生かし、自動運転に特化した通信技術の開発を進める。
トヨタは自動運転技術の開発で先行しており、2020年には高速道路でのレベル4自動運転の実証実験を実施。一方、NTTは光ファイバー網や5Gなどの通信インフラで豊富な実績を持つ。両社の協業により、自動運転の実用化に向けた技術的なブレークスルーが期待される。
具体的な協業内容
協業の具体的な内容としては、自動運転車両とクラウド間の通信を最適化する技術の開発や、交通管制システムとの連携などが検討されている。また、エッジコンピューティングを活用し、車両周辺のデータをリアルタイムで処理する仕組みも構築する。
NTTは、2022年に公表した中期経営計画で、自動運転分野への注力を表明しており、今回の協業はその一環と位置づけられる。トヨタも、2030年までに自動運転システムの搭載車を全世界で500万台以上販売する目標を掲げており、通信基盤の整備は不可欠だ。
今後のスケジュール
両社は2025年をめどに、東京都内や愛知県内の一部地域で実証実験を開始する計画だ。実証実験では、実際の道路環境で自動運転車両を走行させ、通信品質や遅延時間などのデータを収集する。その後、2027年ごろに技術の妥当性を検証し、2030年までに商用化を目指す。
自動運転の実用化には、通信基盤だけでなく、法規制や社会的な受容性など多くの課題がある。トヨタとNTTは、今回の協業を通じて、技術面での課題解決に加え、業界全体の標準化をリードする狙いもあるとみられる。
業界への影響
トヨタとNTTの協業は、自動運転業界に大きな影響を与える可能性がある。両社が開発する通信基盤が業界標準となれば、他の自動車メーカーや通信事業者も追随せざるを得なくなる。また、自動運転技術の進展により、交通事故の削減や物流の効率化など、社会全体にメリットをもたらすと期待される。
一方で、通信基盤の開発には巨額の投資が必要であり、両社の負担が懸念される。トヨタとNTTは、協業の枠組みを拡大し、他の企業や政府機関との連携も視野に入れている。



