2026年7月3日、アメリカ・マイアミで開催された「アルゼンチン対カーボベルデ」戦のスタジアムでは、最新テクノロジーが随所に導入されていた。取材した7月4日の段階でW杯運営は終盤に差し掛かり、一部スタジアムでは撤収作業が始まっている。役割を終えたPCなどはチャリティへの寄付が検討されているが、正式には未決定だという。
全48チームに専用AIを提供、情報の公平性を担保
今回のW杯では、視聴者が試合中に見る範囲でも多くのテクノロジーが導入されている。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の活用に加え、オフサイド判定では選手の3Dデータを用いて位置関係を明確に表示する仕組みが目立つ。審判は耳にカメラを装着し、その映像が中継で使用されている。通常、審判の動きによるブレが大きいが、映像処理によりブレを軽減し、自然で迫力あるシーンを実現している。これらの技術は、レノボがFIFAに協力する形で提供している。
FIFA AI Pro:サッカー専用のAI参謀アシスタント
最も注目すべきは「FIFA AI Pro」と呼ばれる技術の導入だ。これはFIFAとレノボが共同開発したサッカー専用のAIアシスタントで、数億件規模の試合データを記憶し、2000以上の試合評価指標を組み込んでいる。ChatGPTのように文章で戦術について質問でき、攻守の切り替えやプレスのタイミングを理解した上で、対戦相手に応じた戦術やチームオーダーを助言する。
試合データ分析自体は有力チームならどこでも行っている。しかし、予算やスタッフが限られたチームでは難しい。FIFA AI Proは全48チームに提供され、すべてのチームが同じように使えるデータ基盤を提供することを目的としている。これにより、情報格差を是正し、公平な競技環境を実現する。
技術と審判の融合
審判の耳に装着されたカメラは、従来のブレ問題を克服し、視聴者に臨場感を届ける。また、オフサイド判定の3D表示は、選手の正確な位置を可視化し、判定の透明性を高めている。これらの技術はレノボの協力により実現し、FIFA AI Proと合わせて、サッカーの進化を支えている。



