アップルは2025年に発売が予定されている次世代スマートフォン「iPhone 17」シリーズの量産を、インドの工場で開始する計画であることが、複数の関係筋への取材で明らかになった。これは同社が長年依存してきた中国での生産体制からの脱却を加速させる動きとみられる。
インド生産の背景と戦略的意義
アップルはこれまで、主要製品の大半を中国の工場で組み立ててきた。しかし、米中対立の激化や中国での人件費上昇、そしてパンデミックによるサプライチェーン寸断のリスクを踏まえ、生産拠点の多様化を進めている。インドは人口が多く、スマートフォン市場が急成長していることに加え、政府が電子機器製造を奨励する政策を打ち出していることが、アップルにとって魅力となっている。
関係者によると、iPhone 17のインドでの量産は2025年第2四半期に始まる見込みで、当初は全出荷台数の約25%をインドで生産する計画だ。これは従来のiPhone 16シリーズでのインド生産比率(約15%)から大幅に増加する。
サプライチェーン多様化の現状
アップルは既にiPhone 14シリーズからインドでの生産を開始しており、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や英ベンタンテクノロジーなどのサプライヤーがインドに工場を設置している。また、2024年には一部のiPadやMacの生産もインドで始まる予定だ。
しかし、専門家は中国からの完全な脱却は難しいと指摘する。中国のサプライチェーンは依然として高度に統合されており、部品調達や物流の面で優位性がある。また、インドのインフラや労働環境には課題も残る。
インド市場への期待
アップルはインドでの生産拡大により、高価格帯のスマートフォン市場を開拓したい考えだ。インドではiPhoneのシェアは約6%と低いが、富裕層を中心に需要は拡大している。現地生産による価格競争力の向上や、政府の「メーク・イン・インディア」政策への対応が期待される。
一方、中国市場ではiPhoneの販売が減速しており、アップルは新興国市場での成長を模索している。インドでの生産拡大は、中国への依存度を下げると同時に、インド市場での存在感を高める一石二鳥の戦略と言える。
今後の展望と課題
アップルは今後、インドでの生産品目を拡大し、最終的には全製品の25%をインドで生産する目標を掲げている。しかし、実現にはサプライヤーの誘致や熟練労働者の確保、電力供給の安定化など多くの課題がある。
また、米中間の緊張が続く中、中国市場での事業リスクも無視できない。アップルは中国での販売に依然として依存しており、中国政府との関係悪化は業績に打撃となる可能性がある。
関係筋は「アップルは中国とインドの両方で生産を続けるが、長期的にはインドの重要性が増すだろう」と述べている。



