トヨタとNTT、自動運転向けAI半導体で協業へ 2028年実用化
トヨタとNTT、自動運転AI半導体協業 28年実用化 (12.07.2026)

トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、自動運転技術向けのAI半導体を共同開発することで基本合意した。両社は2028年までの実用化を目標に掲げ、車載向けに特化した高性能・低消費電力の半導体チップの量産を目指す。この協業は、自動運転の実用化に不可欠なエッジコンピューティング処理の高速化と、車両全体のエネルギー効率向上に貢献すると期待されている。

自動運転の頭脳を国産で

自動運転車は、カメラやLiDARなどのセンサーから得られる膨大なデータをリアルタイムで処理する必要がある。現在は主に米エヌビディア製のGPUなどが使われるが、消費電力やコスト面で課題があった。トヨタとNTTは、AI推論処理に特化した専用半導体(ASIC)を開発し、車載環境に最適化。NTTが持つ光電融合技術や、トヨタの車両制御技術を組み合わせることで、処理性能を従来比で数倍に高めつつ、消費電力を大幅に削減する方針だ。

両社は2020年からスマートシティ分野で連携しており、今回の半導体協業はその延長線上にある。トヨタの佐藤恒治社長は「自動運転の実用化には、ソフトウェアとハードウェアの一体化が不可欠。NTTの通信・半導体技術とトヨタのモビリティ知見を結集し、安全で安心な移動を実現したい」とコメントしている。

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2028年量産、まずは限定エリアから

開発する半導体は、2028年にトヨタの高級車ブランド「レクサス」などに搭載される予定だ。初期段階では高速道路での自動運転(レベル4相当)を想定し、その後一般道へ展開する。NTTの島田明社長は「AI半導体は、自動運転の頭脳とも言える。両社の技術を結集し、世界最高水準のチップを開発する」と述べている。

また、両社は半導体設計だけでなく、製造プロセスでも連携する。トヨタのグループ会社であるデンソーや、NTTの半導体子会社NTTエレクトロニクスが製造を担う可能性がある。これにより、半導体の安定調達と、車両ごとのカスタマイズが容易になるという利点がある。

業界再編加速、競争激化へ

自動運転用半導体を巡っては、米インテルがMobileyeを買収し、独フォルクスワーゲンと協業するなど、グローバルで開発競争が激化している。トヨタとNTTの協業は、日本勢の巻き返しとなる可能性がある。特に、NTTが持つ光通信技術を応用した「フォトニクスエレクトロニクス融合」は、処理速度と消費電力で優位性を持つとされる。

市場調査会社によると、自動運転用半導体市場は2030年には約5兆円規模に成長する見込み。トヨタとNTTは、この巨大市場でシェアを獲得すべく、先行投資を積極化する。両社は今回の協業を機に、自動運転プラットフォームの標準化も視野に入れている。

波及効果、雇用創出も

半導体開発により、国内の半導体エンジニアの需要が高まることが予想される。トヨタとNTTは、共同で研究開発拠点を新設し、数百人規模の技術者を採用する計画だ。また、協業はサプライチェーン全体に波及し、素材メーカーや装置メーカーにも恩恵をもたらす。

一方で、巨額の開発費や、技術流出のリスクも指摘される。両社は「機密情報の管理を徹底し、国際競争力を維持する」としている。自動運転の実用化は、交通事故削減や物流効率化など社会課題の解決にもつながるため、今回の協業の成否は日本の産業競争力に直結する。

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