ソニー半導体、AI時代の成長戦略と6000億円投資の全貌
ソニー半導体、AI時代の成長戦略と6000億円投資

ソニーグループは、半導体事業において人工知能(AI)時代の成長を見据え、2026年までに約6000億円の設備投資を計画している。同社の半導体事業は、スマートフォン向け画像センサーで世界シェア約50%を誇り、今後は自動運転やIoT(モノのインターネット)向け需要の拡大に対応する。

画像センサー市場の拡大とソニーの戦略

ソニー半導体ソリューションズの清水照士社長は、「AIの進化により、画像センサーの役割は単なる撮像素子から、高度な認識・判断を可能にするデバイスへと変わりつつある」と述べる。同社は、独自の積層型センサー技術を強みに、車載や産業機器向けの高付加価値製品を投入する方針だ。

投資の内訳は、熊本県合志市に建設中の新工場に約1000億円、既存工場の生産能力増強に約5000億円を充てる。これにより、2025年度までに生産能力を現在比で約3割増やす計画だ。

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車載向けセンサー事業の拡大

ソニーは、トヨタ自動車やホンダとの提携を強化し、車載カメラ向けセンサーの供給を拡大する。自動運転レベル3以上のシステムでは、1台あたり10個以上のセンサーが必要とされ、市場規模は2030年に約2兆円に達する見込みだ。

清水社長は、「車載向けは、スマートフォン向けに次ぐ柱に育てる」と意気込む。同社はすでに、欧州の自動車部品大手と共同開発を進めており、2024年には量産を開始する予定だ。

AI処理の高速化とエッジコンピューティング

ソニーは、センサー内部でAI処理を行う「インテリジェントセンサー」の開発にも注力する。これにより、データ通信量を削減し、エッジコンピューティングの効率を高める。同社は、2023年にこの技術を搭載した産業用カメラを発売しており、2025年には車載向けにも展開する計画だ。

市場調査会社のIDCによると、世界の画像センサー市場は2020年の約3.8兆円から2025年には約5.2兆円に成長する見通し。ソニーは、この成長を取り込むため、研究開発費も年間約1500億円に増額している。

競争環境と課題

しかし、競争も激化している。韓国サムスン電子は、高画素化技術で追い上げ、中国の企業も低価格帯でシェアを拡大している。ソニーは、高品質・高信頼性のブランド力を武器に差別化を図るが、価格競争には巻き込まれない戦略が必要だ。

また、半導体不足の影響で、部材調達や生産計画に不透明感もある。ソニーは、複数の調達先を確保し、在庫管理を徹底することでリスクを分散している。

今後の展望

ソニーグループの半導体事業は、2022年度に営業利益約2000億円を計上し、グループ全体の収益を牽引している。AI時代の需要拡大を背景に、同社はさらなる成長を目指す。清水社長は、「半導体はソニーの成長エンジンだ。今後も積極投資を続け、市場のリーダーとしての地位を固める」と語る。

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