ゲッティイメージズ、W杯2026で260万点超の写真を撮影・配信
ゲッティイメージズ、W杯2026で260万点超の写真を撮影・配信

FIFAワールドカップ2026が閉幕し、スペインが優勝した。世界中のサッカーファンを熱狂させた大会を、数々の素晴らしい写真で伝えたのが、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー「ゲッティイメージズ」だ。同社はFIFAワールドカップの公式フォトエージェンシーであり、1968年以降の大会を撮影してきた。

今大会には115名のフォトグラファー、編集者、運営スタッフを投入し、260万点以上の写真を撮影・配信した。撮影した写真は、最短30秒で世界に配信されたという。

手持ち撮影を担当したアレクサンダー・ハッセンシュタイン氏

ドイツを拠点に活動するゲッティイメージズ専属フォトグラファーのアレクサンダー・ハッセンシュタイン氏は、10代のころに友人たちがサッカーをする様子を撮影したことをきっかけにスポーツ写真に興味を持った。これまでにオリンピック18大会、FIFAワールドカップ9大会、UEFAチャンピオンズリーグ決勝10大会を撮影し、F1世界選手権や世界陸上競技選手権も取材してきた。「ワールド・プレス・フォト・オブ・ザ・イヤー」(2004年)などいくつかの賞も受賞している。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

「私たちはスポーツの世界で生きてきました。スポーツとともに生き、スポーツのために生きています。そして、毎日スポーツから多くを学んでいます」とハッセンシュタイン氏は語る。「私が撮影する現場には、いつも勝者と敗者がいます。それもスポーツの一部です。負けを受け入れられないのであれば、フィールドに立つべきではありません。フェアプレー、そして全力を尽くすこと。それが私の仕事における根本的な信条です」

サッカー撮影の難しさと機材

サッカー撮影の難しさについて、ハッセンシュタイン氏は「サッカーでは90分間ずっと同じ場所に座り、すべてのプレーが私たちの前で起こります。残念ながら移動することはできません。それが現実です。そのため、試合を先読みし、今何が起きていて、次に何が起こるかを理解し、自分に割り当てられた撮影ポジションを最大限に活かさなければなりません」と説明する。

カメラは1992年からキヤノンを使用しており、現在はキヤノンアンバサダーも務める。「現在は『EOS R1』を3台使用しています。スポーツ写真には最高のカメラです」と語る。レンズは600mmがお気に入りで、「これを使えばプレーの中心へ、さらに近づくことができます。時間が経つにつれて、このレンズが私の定番になりました」と話す。また、ゴール前を撮影するために70-200mmも使用し、3台目のカメラには広角レンズを装着している。

ワークフローと現場でのこだわり

撮影から納品までのワークフローは、キックオフの3〜4時間前にスタジアムへ到着し、インターネット接続やケーブルの確認、編集チームとの打ち合わせを行う。キックオフ1時間前には選手のウォーミングアップが始まり、その時点までに通信システムやカメラの準備を完了させる。「選手がピッチに姿を現した瞬間から、世界中のクライアント向けに最初の写真を配信し始めるからです」と話す。

現場で欠かせないアイテムとしては、古いキャメル色のビリンガムのカメラバッグを愛用し、「人生をともに歩んできた相棒であり、今でも世界中へ重たいまま肩に担いで持ち歩いています」と語る。そのほか、大きなペリカンケース、一脚、モバイルWi-Fiルーターを使用する。「私はミニマリズムを信条としています。30年間、自分に本当に必要なものが何かを知っており、それはほとんど変わっていません」

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

リモート撮影を担当したリチャード・ヒースコート氏

リモート撮影を担当したのは、イギリスを拠点とするゲッティイメージズチーフスポーツフォトグラファーのリチャード・ヒースコート氏だ。スポーツイベントの取材を進化させるロボティックカメラといった製品やプロセスの開発にも携わってきた。この28年間で、FIFAワールドカップ7大会、オリンピック10大会、UEFA欧州選手権、ラグビーワールドカップ、ゴルフの四大メジャー大会などを取材し、2020年にはスポーツジャーナリスト協会から「エド・レイシー・トロフィー」を受賞した。

仕事で心がけていることは、「視覚的に力強いこと、その瞬間をできる限り良く捉えること、適切なタイミング、適切なフレーミング、そして、人々がその写真を見て立ち止まり、その内容をじっくり見たくなるような画を作ることを大切にしています」と語る。

リモート撮影のメリットと機材

リモート撮影のメリットは、「自分たちが物理的に立つことのできない場所にカメラを設置できるため、試合の重要な瞬間を異なる視点から、興味深いアングルで提供することができます」と説明する。使用カメラは主にキヤノンの「EOS R1」または「EOS R3」で、場合によっては旧型の「EOS-1D X Mark III」も使用する。「EOS Multi Remote」ソフトウェアを使ってネットワーク経由で制御し、露出の変更やフォーカスの変更、メモリーカードの消去も現地に行かずに可能だ。

レンズはゴール裏で主に「RF24mm F1.8 MACRO IS STM」単焦点レンズを使用。「24mmは、広角でありながら、選手がカメラから離れている場合でも小さくなり過ぎない、ちょうど良いバランスです」と語る。また、コンパクトで、シュートが当たった際の交換・修理費用が比較的安く済むという利点もある。

リモート撮影の実際とゲッティ独自の技術

リモート撮影の実際について、ヒースコート氏は「コーナーフラッグ寄りのピッチサイドからリモートカメラを操作していました。通常、ゴール裏のリモートカメラは試合開始約2時間前に設置し、正常に作動し、画像送信も問題ないことを確認します」と話す。その後、芝への散水があるためカメラを覆い、屋根に設置する場合は大会開始の約1週間前に設置し、常時電源を入れておく。

ゲッティイメージズならではの技術として、「独自にカスタマイズしたコントロールボックスを使用しています。これにより、長期間設置したカメラから画像を素早く取得し、さらにネットワーク経由で遠隔リセットするために必要な重要な機能を提供しています。これは、この14年間にわたり改良を重ねてきた装置であり、私たちのリモート撮影をここまで安定して運用できるよう支えてきた技術です」と明かす。

ワークフローと今大会の印象

撮影から納品までのワークフローは、「フォトグラファーが撮影した写真は、自動的にFTP経由で編集者へ送られます。編集者は画像を処理し、お客様へ配信します。私たちはシステムとプロセスを磨き続け、フォトグラファーにとっては扱いやすく、編集者にとっては迅速に処理できるようにしてきました」と説明する。

現場で欠かせないアイテムは、手持ち用カメラ3台とレンズ(400mm、70–200mm、24–70mm、15–35mm)、リモート用カメラ1台と24mmレンズ、予備カメラ1台。さらに一脚やPocketWizard送信機、ノートPCを持ち込む。

今大会を振り返り、「最も印象的だったのは、規模の大きさです。これまで以上に大規模となり、期間も長くなりました。3カ国にまたがる大会だったため、私たちは小さなチームに分かれ、地域ごとに取材しました」と語る。「ゲッティイメージズのフォトグラファー仲間と一緒に、毎日のように都市や国を移動しながら、4年に一度しか会えないチームを取材しました。その仲間意識こそが、この大きなイベントを仕事として楽しめた一番の理由でした」