電気自動車(EV)の世界的な普及に伴い、バッテリーの需要構造が大きく変化している。特に、従来の三元系リチウムイオン電池に代わり、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の採用が急速に拡大している。LFP電池はコバルトなどの希少金属を使用しないため、材料コストが低く、熱安定性に優れているという利点がある。一方でエネルギー密度は三元系に劣るが、近年の技術改良により航続距離も改善され、中国や欧米のEVメーカーを中心に採用が進んでいる。
中国勢が市場の8割を掌握
市場調査会社のデータによると、2023年の世界のLFP電池市場シェアは、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が約35%、比亜迪(BYD)が約20%を占め、上位10社のうち8社を中国企業が占める。中国勢は政府の支援と大規模な生産能力投資により、低コスト生産を実現。さらに、リン酸鉄という主要原料の供給網も国内で完結しており、競争力の源泉となっている。
日本勢の巻き返しは可能か
一方、日本の電池メーカーはこれまで三元系リチウムイオン電池に注力してきたため、LFP分野では出遅れている。しかし、パナソニックホールディングスは2023年にLFP電池の量産化を発表し、2024年から生産開始を予定。また、東芝もLFP電池の開発を進めており、巻き返しを図る。アナリストは「日本勢は品質と信頼性で差別化できるが、コスト競争では中国勢に劣る。自動車メーカーとの協業や生産効率の向上が鍵」と指摘する。
LFP電池の需要は、EVだけでなく、定置用蓄電池や電動工具などにも拡大している。国際エネルギー機関(IEA)の予測によれば、2030年には世界のリチウムイオン電池需要の約40%をLFPが占めるという。中国勢の独走が続く中、日本勢や韓国勢の戦略が注目される。



