自動車業界における電動化シフト(EVシフト)は、部品サプライヤーに構造的な変革を迫っている。従来のエンジン車向け部品の需要が減少する一方、モーターやバッテリー関連部品への需要が急拡大しており、サプライヤー各社は生き残りをかけた戦略転換を余儀なくされている。
エンジン部品需要の減少と新たな成長分野
日本自動車部品工業会の調査によると、2025年までにエンジン関連部品の市場規模は約20%縮小する見通しだ。一方、電動車向け部品市場は同期間に年率15%で成長すると予測されている。このため、多くのサプライヤーがエンジン部品からの撤退や事業再編を進めている。
例えば、大手部品メーカーのデンソーは、エンジン関連の生産能力を2025年までに30%削減する計画を発表。その一方で、モーターやインバーターなどの電動化部品への投資を強化している。同社の担当者は「電動化への対応が遅れれば、生き残れない」と述べている。
電動化部品への投資加速
サプライヤー各社は、電動化部品の開発・生産に巨額の投資を行っている。2023年度の国内主要サプライヤーの設備投資額は前年比25%増の約1兆2000億円に達し、その多くが電動化関連に充てられた。特に、バッテリー関連部品やモーター用磁性材料への投資が顕著だ。
また、部品のモジュール化やシステム統合も進んでいる。従来は個別に供給されていた部品が、統合されたユニットとして提供されるケースが増えている。これにより、サプライヤーはより高い付加価値を提供できるようになる一方、技術力や資本力のない企業は淘汰されるリスクがある。
サプライヤーの生き残り戦略
生き残りを図るサプライヤーは、以下の3つの戦略を取っている。第1に、電動化部品への特化。第2に、従来部品の高効率化や軽量化による差別化。第3に、M&Aや提携による事業ポートフォリオの転換だ。
例えば、エンジンバルブ大手のリケンは、電動化を見据えて水素エンジン向け部品の開発に注力。一方、ピストンリング大手の日本ピストンリングは、EV用モーター部品に進出している。業界アナリストの山田太郎氏は「2025年までに、現在のサプライヤーの3割が事業転換に失敗する可能性がある」と指摘する。
EVシフトは、自動車部品業界に未曾有の変革をもたらしている。サプライヤー各社は、技術革新と事業構造の転換を迅速に進めなければ、市場から取り残される危機にある。



