世界的な電気自動車(EV)シフトの流れが加速する中、トヨタ自動車はガソリン車の需要が依然として大きいと指摘し、独自のマルチパスウェイ戦略を推進している。同社はEVだけでなく、ハイブリッド車(HV)や水素エンジン車など、多様なパワートレインを併用することで、現実的な脱炭素社会の実現を目指している。
ガソリン車の需要は依然として高い
トヨタの豊田章男社長は、「世界中のお客様のニーズは多様であり、すべての地域でEVが最適解とは限らない」と述べ、ガソリン車の需要が特に新興国やインフラ未整備地域で根強いことを強調している。実際、2023年の世界新車販売に占めるEVの割合は約10%に過ぎず、残りの90%はガソリン車やHVなどが占めている。
トヨタは2023年、世界で約950万台を販売し、そのうちEVは約10万台と約1%にとどまった。しかし、同社は2030年までにEV販売を350万台に引き上げる目標を掲げており、EVへの本格的な投資も進めている。
マルチパスウェイ戦略の現実性
トヨタのマルチパスウェイ戦略は、EVだけでなく、HV、プラグインハイブリッド車(PHV)、水素燃料電池車(FCV)、そして水素エンジン車など、複数の選択肢を提供するものだ。同社は、地域ごとのエネルギー事情やインフラ整備状況に応じて最適な技術を提供することで、カーボンニュートラルを効率的に達成できると主張している。
特に、トヨタは水素エンジン車に力を入れており、2024年には水素エンジンを搭載したカローラクロスを限定販売する予定だ。水素エンジンは、ガソリンエンジンと同じ内燃機関を活用できるため、既存のサプライチェーンや技術を転用できるメリットがある。
EVシフトの課題
一方で、EVシフトには多くの課題が残る。バッテリーの原材料調達や製造コスト、充電インフラの整備、そして電力のクリーン化など、解決すべき問題は山積みだ。特に、中国や欧州ではEV補助金の縮小や撤廃が進んでおり、EV需要の減速も懸念されている。
トヨタの戦略は、こうした現実を踏まえたものと言える。同社は、EVだけでなく、HVや水素技術も含めた総合的なアプローチで、持続可能なモビリティ社会を目指している。



