世界的な電気自動車(EV)シフトが加速する中、日本の自動車メーカーは競争力維持に向けた戦略転換を迫られている。特に中国市場でのEV普及率の急上昇や、欧州での環境規制強化が、日本メーカーに大きな影響を与えている。
日本メーカーの現状と課題
トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HV)で優位に立つ一方、EV分野では出遅れていると指摘される。2022年の世界のEV販売台数は約780万台に達し、前年比68%増となったが、トヨタのEV販売は2万4000台にとどまった。同社は2026年までにEVの年間販売150万台を目指すと発表しているが、達成には課題が多い。
日産自動車は、リーフで先行したものの、その後競合に追い抜かれた。現在は新型EV「アリア」を投入し、巻き返しを図る。2023年度のEV販売目標は約30万台としているが、中国市場での苦戦が続いている。
中国市場の重要性
中国は世界最大のEV市場で、2022年の新車販売に占めるEVの割合は約25%に達した。現地メーカーの比亜迪(BYD)が急成長し、テスラを抑えて販売台数で首位に立っている。日本メーカーは中国市場での存在感が低下しており、EV戦略の見直しが急務となっている。
ある業界関係者は「日本メーカーはHVで成功したが、EVへの移行が遅れた。中国市場で生き残るためには、現地企業との提携やバッテリー調達の強化が必要だ」と指摘する。
バッテリー調達とコスト競争
EVのコストの約3割を占めるバッテリーの調達が、競争力の鍵を握る。トヨタは松下との合弁会社でバッテリー生産を強化し、日産は中国の寧徳時代(CATL)との提携を拡大している。しかし、中国や韓国のバッテリーメーカーに比べ、コスト面で劣るのが実情だ。
また、全固体電池の実用化に向けた開発競争も激化している。トヨタは2027年ごろの量産開始を目指すが、技術的なハードルは高い。
政府の支援と規制
日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げるが、具体的な規制は未定だ。一方、欧州連合(EU)は2035年にガソリン車の新車販売を禁止する方針を決定している。日本のメーカーは、欧州市場向けのEV投入を急いでいる。
経済産業省は、蓄電池の国内生産基盤強化に向け、最大約3300億円の支援を表明した。これにより、バッテリーの安定調達とコスト低減を図る。
今後の展望
日本メーカーがEV市場で生き残るためには、技術開発とコスト競争力の両立が不可欠だ。また、中国や欧州といった主要市場での販売戦略の見直しも求められる。業界アナリストは「日本メーカーはHVの技術を活かしつつ、EVへのシフトを加速する必要がある。特にソフトウェア面での差別化が重要になる」と分析する。
一方で、EV一辺倒ではなく、水素燃料電池車(FCV)や合成燃料など、多様な選択肢を模索する動きもある。トヨタはFCVの開発を継続し、商用車向けに実用化を進めている。



