タイの自動車市場で、電気自動車(EV)へのシフトが急速に進む中、中国ブランドが席巻している。2024年上半期のEV販売台数で、中国の比亜迪(BYD)が首位を堅持し、長城汽車(GWM)や上汽集団(SAIC)傘下のMGも上位に食い込んでいる。一方、日本の自動車メーカーはEV分野で出遅れ、ガソリン車の販売も伸び悩み、市場シェアを低下させている。
中国勢の躍進と日本車の苦戦
タイ自動車工業会のデータによると、2024年1~6月のEV販売台数は約3万5000台で、前年同期比で約2倍に増加した。このうち、BYDが約1万3000台でシェア37%を占め、GWMが約8000台、MGが約6000台と続く。中国ブランド3社で全体の約7割を占める一方、日本メーカーでは日産が約1000台、トヨタが約500台にとどまり、存在感は薄い。
タイは東南アジア最大の自動車生産拠点であり、長年日本メーカーが市場を支配してきた。しかし、中国政府の強力なEV推進政策と低価格戦略を背景に、中国勢が急速にシェアを拡大している。特にBYDは、タイで現地生産を開始し、価格競争力を高めている。
日本メーカーの対応と課題
日本メーカーもEV攻勢を強めているが、中国勢に比べて商品投入が遅れている。トヨタは2023年にタイで初の量産EV「bZ4X」を発売したが、販売は低調だ。ホンダは2024年に新型EVを投入する計画だが、価格面で中国勢に太刀打ちできるかは不透明だ。
タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税の引き下げなど優遇策を打ち出している。こうした政策が中国勢の追い風となっている。
日本車の強みは生きるか
日本メーカーは、内燃機関車で培った品質や燃費性能、アフターサービス網などで差別化を図るが、EVシフトが加速する中で、その強みは徐々に薄れつつある。特に、タイでは中国勢が低価格を武器に、タクシーやライドシェア向けなど法人需要を取り込んでいる。
タイの自動車市場は2024年上半期に前年同期比で約5%縮小しており、消費者の購買意欲は低迷している。こうした中、日本メーカーはEVだけでなく、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も含めた多様な電動車戦略で巻き返しを図る必要がある。
業界関係者は「日本メーカーがタイ市場での存在感を維持するには、EVの生産拡大と価格競争力の強化が不可欠だ」と指摘する。今後の動向が注目される。



