EV販売鈍化で自動車業界に試練、部品大手の戦略転換迫られる
EV販売鈍化で自動車業界試練、部品大手戦略転換

世界的な電気自動車(EV)の販売減速が、自動車業界に新たな試練をもたらしている。特に部品大手メーカーは、これまでのEV一辺倒の戦略から転換を迫られており、デンソーなどは水素エンジンやハイブリッド車向け部品の開発強化に乗り出した。

EV販売鈍化の実態

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2024年の世界のEV販売台数は前年比で約20%増と、2022年の60%増から大幅に鈍化した。特に欧州では補助金縮小の影響で販売が伸び悩み、中国市場でも競争激化による価格下落がメーカーの収益を圧迫している。

日系自動車メーカーも影響を受けており、トヨタ自動車は2024年度のEV販売目標を下方修正。日産自動車もEV専用工場の稼働開始を延期するなど、慎重姿勢が目立つ。

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部品大手の戦略転換

こうした状況を受け、部品大手各社は戦略の見直しを余儀なくされている。デンソーは2025年3月期の連結売上高見通しを前期比5%減の5兆5000億円と発表。EV向け部品の需要低迷が主因だ。

同社は水素エンジン向けインジェクターや、ハイブリッド車用の高効率パワーコントロールユニットの開発に注力する方針を打ち出した。担当役員は「EVだけでなく、多様なパワートレインに対応できる技術を磨く必要がある」と述べている。

また、アイシンも同様に、ハイブリッド車向けトランスミッションの生産能力を2026年までに現状比30%増強する計画を公表。電動化の進度に応じて柔軟に対応する姿勢を示している。

業界全体への影響

この動きは自動車業界全体に波及している。マツダはロータリーエンジンを発電機として活用するレンジエクステンダーEVの開発を加速。スバルも水平対向エンジンを搭載したハイブリッド車のラインアップを拡充する方針だ。

一方、EV専業メーカーには厳しい環境が続く。米テスラは2024年第1四半期の納車台数が前年同期比で約9%減少。中国のビーワイディー(BYD)も国内販売の伸びが鈍化している。

今後の展望

専門家は、EVへの移行は長期トレンドとして変わらないものの、過渡期においては多様な技術の併存が不可欠と指摘する。野村総合研究所のアナリストは「2025年以降、バッテリーコストの低下や充電インフラの整備が進めば、再びEV販売が加速する可能性がある」と分析している。

部品大手各社は、こうした不確実性に対応するため、研究開発費の配分を見直し、複数のパワートレイン技術に投資する戦略を取らざるを得ない。デンソーの決算説明会では「2025年度の研究開発費は前年比10%増の5000億円を計画。うち電動化関連には従来の6割から5割に削減し、水素やエンジン技術にも振り向ける」との方針が示された。

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