2025年4月、欧州における電気自動車(EV)の販売台数が前年同月比で20%減少したことが、欧州自動車工業会(ACEA)の発表で明らかになった。この急激な落ち込みは、欧州自動車業界がかつてない苦境に立たされていることを示している。
需要減退の背景
需要減退の主な要因として、各国政府による購入補助金の縮小や打ち切りが挙げられる。特にドイツでは2023年末にEV購入補助金が突然終了し、消費者心理に冷え込みをもたらした。また、充電インフラの整備遅れや、EV価格の高止まりも需要を抑制している。
ACEAのデータによれば、2025年第1四半期のEV販売台数は約30万台で、前年同期比で15%減少した。特に小型EVの販売が落ち込み、市場全体の成長を鈍化させている。
中国勢の攻勢と欧州メーカーの苦戦
一方、中国のEVメーカーは欧州市場でのシェアを拡大している。比亜迪(BYD)や上海汽車集団(SAIC)などの中国勢は、低価格帯のEVを投入し、2025年には欧州での市場シェアが10%を超える見通しだ。これに対し、フォルクスワーゲンやステランティスなどの欧州メーカーは、生産コスト削減や新型車投入で対抗しようとしているが、苦戦を強いられている。
フォルクスワーゲンは2025年初めに、ドイツ国内の工場で一部モデルの生産を停止することを発表。同社の広報担当者は「需要の変動に対応するため、生産調整は避けられない」と述べている。また、ステランティスは2024年末に欧州で約1,500人の雇用削減を発表しており、業界全体でリストラの動きが広がっている。
業界の将来展望
欧州自動車業界の苦境は、長期的な構造問題を浮き彫りにしている。欧州委員会は2035年までに内燃機関車の新車販売を禁止する方針を掲げているが、EVへの移行が計画通りに進んでいない。業界団体は、充電インフラのさらなる拡充や、補助金の再導入を政府に求めている。
ある業界アナリストは「欧州メーカーは中国勢との競争に勝つために、技術革新とコスト削減を同時に進める必要がある。しかし、短期的には需要低迷が続く可能性が高い」と指摘する。



