中国の電気自動車(EV)市場では、激しい価格競争が各メーカーの収益性を圧迫している。業界最大手のBYDは年初から複数回の値下げを実施し、米国テスラもこれに追随。市場シェア拡大を狙った攻勢が、中小メーカーの経営を直撃している。
値下げ競争の背景
中国政府のEV補助金縮小に加え、需要の伸び鈍化が価格競争を加速させた。2024年上半期の中国EV販売台数は前年同期比で約20%増加したものの、市場全体の在庫は過去最高水準に達している。業界団体のデータによると、新車の平均販売価格は2023年比で約10%下落した。
BYDは主力の「秦」シリーズで最大15%の値下げを実施。同社の王伝福会長は「規模の経済を生かし、コスト競争力を維持する」と述べ、値下げ戦略を継続する姿勢を示した。
テスラの対応
テスラは上海工場で生産する「モデル3」「モデルY」の価格を3月から5月にかけて2回引き下げた。イーロン・マスクCEOは「中国市場での競争は極めて厳しい」と認め、コスト削減と生産効率の向上を急いでいる。
一方、新興EVメーカーの小鵬汽車(Xpeng)や蔚来汽車(NIO)は赤字が拡大。小鵬汽車の2024年第1四半期決算は営業損失が前年同期比で約30%増加した。同社の何小鵬CEOは「生き残りには資金調達と技術革新が不可欠」と語る。
業界再編の兆し
価格競争の長期化は業界再編を促す可能性がある。アナリストによると、中国のEVメーカー約100社のうち、半数以上が2025年までに市場から撤退する可能性があるという。実際、2024年上半期に少なくとも3社が生産休止を発表した。
独フォルクスワーゲンは中国でのEV販売が低迷し、合弁会社の利益が減少。同社は中国市場向けの低価格EVを開発中で、2025年の投入を計画している。
今後の展望
中国政府はEV産業の過剰供給を懸念し、新規参入の規制強化を検討中。一方で、消費者の購買意欲を刺激するため、都市部での充電インフラ整備に補助金を拡充する方針だ。
業界団体の予測では、2024年の中国EV販売台数は前年比15%増の約1100万台に達する見込み。だが、価格競争の影響で業界全体の利益率は過去最低を更新する可能性が高い。



