EVバッテリーのリサイクル技術が急務に、日本企業が挑む新たな戦略
EVバッテリーリサイクル、日本企業の新戦略

電気自動車(EV)の世界的な普及が加速する中、使用済みバッテリーのリサイクル技術の確立が急務となっている。日本企業は独自の湿式精錬技術を駆使し、リチウムやコバルトなどのレアメタルを95%以上の高純度で回収することに成功。2030年までに年間1万台分のEVバッテリーを処理する体制を整える計画だ。

バッテリー廃棄量の急増と資源確保の課題

国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年までに世界で廃棄されるEVバッテリーは年間約200万トンに達する見込み。現在のリサイクル率は5%未満と低く、レアメタルの供給不安が懸念されている。特にリチウムは中国が精製工程の60%以上を占め、供給リスクが高い。

日本経済産業省は2023年、バッテリーリサイクルを「経済安全保障上の重要技術」に指定。国内企業の技術開発を支援する方針を打ち出した。これを受け、住友金属鉱山やJX金属などがリサイクル事業を本格化させている。

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湿式精錬技術が鍵に

従来の乾式精錬(高温加熱)はエネルギー消費が大きく、リチウムの回収が困難だった。これに対し、日本企業が開発した湿式精錬は、酸や有機溶媒を用いて金属を溶解・分離する手法で、リチウムの回収率が従来の2倍以上となる。

「当社の技術では、バッテリーからリチウム、コバルト、ニッケル、マンガンをそれぞれ95%以上の純度で回収可能です。特にリチウムの回収は世界最高水準を誇ります」と、住友金属鉱山の担当者は語る。

実証プラントから量産へ

2024年、住友金属鉱山は愛媛県新居浜市に年間処理能力500トン(約5,000台分)の実証プラントを稼働。2026年までに年間1,000トン、2030年には2,000トン(約2万台分)を目指す。JX金属も2025年、茨城県日立市に年間300トン規模のプラントを建設予定だ。

また、トヨタ自動車とパナソニックの合弁会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズは、2025年までに国内で年間1万台分のバッテリーをリサイクルする計画を発表。回収したレアメタルは新車用バッテリーに再利用する方針だ。

コスト競争力と法規制の壁

一方で、リサイクルコストは新規採掘の約2倍と高く、経済性の改善が課題。経済産業省は2024年度から、リサイクル材を使用したバッテリーに対する補助金制度を導入する方針を固めた。

欧州連合(EU)は2023年、新車搭載バッテリーにリサイクル材の一定割合使用を義務付ける規則を採択。2031年までにコバルト16%、リチウム6%の使用を義務化する。日本も同様の規制導入を検討中で、リサイクル技術の重要性はさらに高まるとみられる。

資源循環の未来像

日本政府は2030年までに、国内で発生するバッテリー廃棄量の50%をリサイクルする目標を掲げる。これにより、レアメタルの輸入依存度を20%削減できる見込みだ。

「リサイクル技術の確立は、EV産業の持続可能性だけでなく、日本の資源安全保障にも直結する。官民一体となった取り組みが不可欠」と、経済産業省の担当者は強調する。

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