デンマーク、EV充電所から高速充電器を撤去へ 環境規制緩和の波
デンマークEV充電所から高速充電器撤去へ

デンマーク政府は、高速道路の電気自動車(EV)充電所から急速充電器を撤去する方針を明らかにした。これは、同国が進める環境規制緩和の一環であり、設置業者への補助金も廃止される。この決定は、EV普及を促進する世界的な流れに逆行するものとして、国内外から批判の声が上がっている。

撤去の背景と具体的な内容

デンマーク運輸省は、2025年末までに国内の高速道路沿いにある急速充電器約200基を撤去する計画を発表した。同省の広報担当者は、「これらの充電器は利用率が低く、維持費がかさむため、撤去することで年間約500万クローネ(約8000万円)の節約になる」と説明している。また、新たな充電器設置に対する補助金も同時に廃止される。

この決定は、デンマーク政府が2023年に打ち出した「環境規制の見直し」政策の一環である。同国はこれまで、2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する計画を掲げていたが、2024年に入り、経済成長を優先するとして、一部の環境規制を緩和する方向に転換していた。

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EV業界と環境団体の反応

デンマークEV協会のマッズ・ニールセン会長は、「この決定はEV普及に深刻な打撃を与える。充電インフラが不足すれば、消費者のEV購入意欲は減退する」と懸念を表明した。同協会の調査によると、デンマークのEV所有者の約60%が高速道路の充電器を月に1回以上利用しており、撤去により長距離移動が困難になると指摘する。

環境団体「グリーンピース・デンマーク」も声明を発表し、「政府は気候変動対策を後退させている。これは将来世代に対する裏切りだ」と批判した。一方、デンマーク自動車連盟(FDM)は、「高速道路の充電器利用率は確かに低いが、撤去ではなく、より効率的な配置に変更すべきだ」と代替案を提示している。

他国への影響と今後の見通し

この動きは、欧州連合(EU)内でも波紋を広げている。EUは2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する方針を掲げており、加盟国に充電インフラの整備を促している。デンマークの決定は、EUの気候政策に逆行するものとして、欧州委員会も懸念を示している。

デンマーク政府は、撤去された充電器の代わりに、一般道沿いの充電ステーションを拡充する方針を示しているが、具体的な計画は未定だ。運輸省は「高速道路以外の場所で、より利用しやすい充電環境を整備する」と述べているが、EV業界からは「時期尚早」との声が上がっている。

デンマークのEV普及率は、2024年時点で新車販売の約40%を占めており、北欧諸国の中でも高い水準にある。しかし、今回の決定により、今後の普及ペースが鈍化する可能性がある。専門家は「充電インフラの縮小は、EV市場に冷水を浴びせることになる」と警鐘を鳴らしている。

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