中国勢が世界のEVバッテリー市場を席巻
電気自動車(EV)の普及に伴い、車載用バッテリー市場で中国メーカーの存在感が急速に高まっている。調査会社SNEリサーチによると、2024年の世界市場における中国製バッテリーのシェアは60%を超え、前年の55%からさらに拡大した。特にCATL(寧徳時代新能源科技)とBYD(比亜迪)の2強が市場をけん引し、それぞれシェア37%と16%を占めている。
日本勢のシェア低下が顕著に
一方、日本勢はパナソニックホールディングスがシェア8%で4位にとどまり、かつての勢いは見られない。日系メーカー全体のシェアは10%を割り込み、中国勢との差が広がっている。韓国勢のLGエナジーソリューションとSKオンも健闘しているが、中国勢の低価格攻勢に押され気味だ。
低価格と技術革新で優位に立つ中国勢
中国勢の強みは、低コスト生産と技術開発の速さにある。CATLはリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)でコスト競争力を高め、BYDは自社開発のブレードバッテリーで安全性とエネルギー密度を両立させている。SNEリサーチのアナリストは「中国メーカーは政府の支援もあり、生産規模と技術革新で他国を大きくリードしている」と指摘する。
欧米市場でも存在感増す中国製バッテリー
中国製バッテリーはアジア市場だけでなく、欧米市場にも浸透しつつある。テスラは上海工場で生産するモデル3やモデルYにCATL製バッテリーを採用しており、欧州の自動車メーカーも調達先を中国に切り替える動きが加速している。これにより、中国のバッテリー輸出額は2024年に前年比30%増の約500億ドルに達した。
日本勢の巻き返しは可能か
日本勢の巻き返しには、全固体電池など次世代技術の実用化が鍵を握る。パナソニックは2025年に全固体電池の量産を目指すが、生産コストや量産技術の課題は残る。経済産業省は「官民一体で技術開発を支援し、2030年までに世界シェア20%を目指す」と表明しているが、中国勢の先行を覆すのは容易ではない。
市場の将来展望と課題
世界のEVバッテリー市場は2030年までに現在の3倍規模に成長すると予測される。中国勢がこの成長を取り込む一方で、資源の調達や環境負荷といった課題も浮上している。バッテリー原料のリチウムやコバルトの価格高騰が中国メーカーの収益を圧迫する可能性もあり、今後の市場動向が注目される。



