中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)は2024年通期の売上高が過去最高を記録したと発表した。しかし、第4四半期の利益はアナリスト予想を下回り、増益率の鈍化が鮮明となった。同社は世界的なEV需要の減速と中国市場での競争激化に直面している。
売上高は過去最高も、利益率に陰り
BYDが3月24日に発表した2024年通期決算によると、売上高は前年比29%増の7771億元(約15兆4000億円)に達し、過去最高を更新した。純利益は前年比34%増の402億5000万元(約8000億円)で、これも過去最高だった。しかし、第4四半期に限ると、純利益は前年同期比73%増の150億元(約3000億円)だったものの、市場予想の157億元を下回った。売上高も第4四半期は前年同期比52%増の2729億元で、予想の2789億元に届かなかった。
「通期では堅調な業績を達成したが、第4四半期には競争激化の影響が出始めている」と、BYDの広報担当者は述べた。同社は2024年に世界で約425万台のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を販売し、前年比41%増を記録。しかし、中国市場ではライバル各社が値下げ競争を繰り広げており、利益率の維持が課題となっている。
競争激化と海外市場の開拓
中国のEV市場では、BYDに加えて、上海汽車(SAIC)や吉利汽車(Geely)、さらには新興メーカーの蔚来汽車(NIO)や小鵬汽車(XPeng)などが激しい競争を展開している。特に2024年後半からは、各社が値下げやキャンペーンを強化し、販売台数の拡大を優先する傾向が強まっている。これにより、BYDの自動車事業の粗利益率は第4四半期に前年同期比で1.6ポイント低下し、16.2%となった。
一方、BYDは海外市場への拡大を加速している。2024年の海外販売台数は約41万7000台で、前年比67%増加。東南アジアや欧州、南米での販売網を強化しており、2025年にはさらに海外販売を拡大する計画だ。同社はまた、タイやハンガリーなどでの生産拠点建設を進めており、現地生産によるコスト削減と関税リスクの回避を目指している。
「海外市場は成長の大きな機会を提供しているが、各国の規制や貿易摩擦への対応が不可欠だ」と、同社の広報担当者は付け加えた。
今後の見通しと業界の課題
BYDは2025年の販売目標として、世界で550万台以上を掲げている。しかし、中国市場での競争激化に加え、欧州連合(EU)による中国製EVへの追加関税や、米国による中国製EVへの高関税措置など、貿易環境の悪化がリスク要因となっている。また、中国政府によるEV購入補助金の縮小も、国内需要に影響を与える可能性がある。
アナリストの間では、BYDの業績は今後も成長を続けるものの、増益率はさらに鈍化するとの見方が多い。特に、低価格帯のEV市場での競争が激化しており、同社の収益性を圧迫する要因となっている。
BYDは2024年に、高級車ブランド「仰望(Yangwang)」や「方程豹(Fangchengbao)」を投入し、高価格帯市場への進出も図っている。しかし、これらのブランドの販売台数はまだ限定的であり、収益への貢献は限られている。
「BYDは規模とコスト競争力で優位に立っているが、競争環境の変化に適応しなければならない」と、業界アナリストは指摘する。同社は2025年も積極的な値下げ戦略を継続するとみられ、業界全体の収益性低下が懸念されている。



