中国の電気自動車(EV)用電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は、欧州での生産能力拡大を加速している。ドイツ・テューリンゲン州に続き、ハンガリー・デブレツェンに大規模な電池工場を建設する計画を発表した。投資額は約73億ユーロ(約1兆円)に上り、年間100ギガワット時(GWh)の生産能力を目指す。同社は「欧州のEV需要の急増に対応するため、現地生産を強化する必要がある」と説明している。
欧州での生産拠点拡大の背景
CATLは既にドイツ・テューリンゲン州で工場を稼働させており、今回のハンガリー工場は欧州で2拠点目となる。欧州では、EUの厳しい排出ガス規制や各国のEV普及政策を背景に、EV販売が急増している。2022年の欧州でのEV販売台数は約260万台で、前年比15%増となった。CATLは「欧州の自動車メーカーからの需要に応えるため、生産能力を大幅に増強する」と述べている。
ハンガリー工場の詳細
ハンガリー工場はデブレツェン市に建設され、敷地面積は約200ヘクタール。2027年までの生産開始を目指し、完成時には約9,000人の雇用を創出する見込み。同工場では、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池とリン酸鉄リチウム(LFP)電池の両方を生産する計画で、欧州の自動車メーカー各社に供給する。ハンガリー政府は、この投資を「国内経済にとって極めて重要」と評価し、税制優遇などの支援を約束している。
欧州電池市場への影響
CATLの欧州進出は、同地域の電池サプライチェーンに大きな影響を与える。現在、欧州の電池生産は韓国のLGエナジーソリューションやサムスンSDI、SKオンなどが先行しているが、中国勢の参入で競争が激化する。市場調査会社SNEリサーチによると、2022年の世界EV電池市場シェアはCATLが37%でトップ、LGエナジーソリューションが13%で2位。欧州では、CATLがドイツ工場に続きハンガリー工場を稼働させることで、シェア拡大が予想される。
地元経済への波及効果
ハンガリー政府は、CATLの投資により、周辺産業の雇用創出や技術移転が期待できるとしている。デブレツェン市は、既にBMWやメルセデス・ベンツなどの自動車工場が立地しており、EV関連の集積が進む。地元経済学者は「CATLの進出で、電池の研究開発やリサイクルなどの関連企業も集まり、地域全体が活性化する」と指摘する。
環境面での課題
一方、環境団体からは、工場建設に伴う環境影響を懸念する声も上がっている。ハンガリー政府は、工場で使用する電力の一部を再生可能エネルギーで賄うことを条件に承認した。CATLは「生産工程での二酸化炭素排出量を最小限に抑えるため、最新の省エネ技術を導入する」と約束している。



