BYD、軽EV「ラッコ」7月28日発売へ 日本の軽市場初のEVスーパーハイトワゴン
BYD軽EV「ラッコ」7月28日発売 軽市場初のEV

中国のBYD(比亜迪)が日本の軽自動車市場に照準を合わせて開発した新型電気自動車(EV)「ラッコ」(RACCO)の発売が秒読みに入った。BYDの日本法人であるBYDジャパンは、2026年7月28日に軽スーパーハイトワゴンタイプのEV「ラッコ」を発売する。プロモーションには俳優の広瀬アリスさんを起用し、CMを全国で放映する。

軽自動車市場の3割以上を占める独自規格にBYDが挑む

軽自動車は日本の独自規格で、自動車市場の3割以上を占める。中国のBYDは、今や米国のテスラとEVの世界覇権を争うまでに急成長を遂げたEVメーカーだ。日本市場へも攻勢をかける中で、日本独自の軽自動車規格で新型EVを自社開発した。

ラッコは2025年秋の「ジャパンモビリティショー」で初公開となり、注目を浴びた。軽自動車市場で最も人気のある「スーパーハイトワゴン」カテゴリーのEVだったからだ。日本の軽自動車メーカーで同カテゴリーのEVを発売している企業はまだない。BYDが一番乗りとなる。

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EV逆風の中、軽自動車こそ適合性高い

中国や北欧を除いて、ゼロエミッションの本命とされていたEVには逆風が吹いている。日本市場はハイブリッド車が最も普及していることから、EV比率が伸び悩んできた。だが、本来なら軽自動車こそEVの適合性が高いと言われており、BYDは日本の道路環境やライフスタイルを研究し、軽自動車規格に沿った新型EVを開発。満を持して日本市場に投入する。

ラッコのスペック:3グレード、航続距離最大320km

7月28日の発売を前に、ラッコのスペックが公表となった。ラッコのグレード構成はスタンダード仕様の「200」、ロングレンジ仕様の「300Plus」、ロングレンジ上級仕様の「300Premium」の3種類。1充電走行距離はスタンダード仕様で210km、ロングレンジ仕様で320kmとなっている。

バッテリーは35.84kWhと22.4kWhのブレードバッテリー(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)を採用。駆動用モーターは全車共通で最高出力47kW(64PS)、最大トルク160Nmを発生する。充電方式は普通充電に加え、日本の急速充電規格である「CHAdeMO」方式にも対応するほか、最大1,500Wまで使用できるV2Lアダプターも用意。さらに、充電前にバッテリーを適切な温度まで温める充電余熱機能も採用している。

駆動方式は全グレードFF(2WD)で、車両重量は1,160~1,230kg。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアはトーションビーム式を採用する。タイヤサイズは165/65R15で、前後ともディスクブレーキを採用。先進運転支援システム(ADAS)に加え、幼児置き去り検知(CPD)や全窓アンチピンチ(巻き込み防止)機能など、子どもの安全に配慮した装備を採用し、細かな使い勝手まで意識した仕様となっている。

価格設定に注目集まる:予想キャンペーンで関心喚起

BYDジャパンは「ラッコ」のプロモーションにも本腰を入れる。広瀬アリスさんを起用した新CMは7月14日に放映開始。ラッコの注目ポイントは価格設定だ。BYDジャパンでは7月12日までの期間限定で「RACCO車両価格当てキャンペーン」を実施。価格予想を当てた人に「ラッコ300 Premium」1台をプレゼントするという内容で、ラッコの価格設定について興味・関心を高める意図が感じられた。

EV補助金の課題:BYDは減額の実態

問題は日本のEV補助金制度だ。日本政府は2026年1月から、EV補助金の上限を40万円引き上げて130万円としたが、この補助額は内外メーカーによって異なる。米国のテスラが満額に近い補助金となったのに対し、中国のBYDは減額されたのが実態だ。

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開発・販売体制:日産出身の技術者とヤナセが参画

BYDとしては、ラッコの開発・販売に万全の布陣で臨んでいる。開発統括には日産自動車で軽EV「サクラ」の開発を進めた田川博英氏を起用。営業面では、三菱自動車工業で営業経験が長く、日本の乗用車販売を熟知した東福寺厚樹氏がBYDオートジャパンの社長に就任し、陣頭指揮を執る。

新たにBYDブランドを扱う店舗には、輸入車販売の雄、ヤナセが加わることになった。7月11日には「ヤナセEVスクエア磯子支店」がオープン。「ラッコ」を特別展示して7月28日の発売に向けた前哨戦が早くも繰り広げられている。

国内メーカーの反応:スズキ社長「負けてはいられない」

スズキ、ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車といった日本の軽自動車メーカーサイドとしても、BYDのラッコ投入に対する警戒感を強めているが、「大きな刺激となるが、負けてはいられない」(スズキの鈴木俊宏社長)と受けて立つ構えを示しており、今後の展開が注目される。