ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、プレイステーション向けゲームソフトのディスク生産を終了する方針を固めた。これにより、家庭用ゲーム機におけるパッケージ版の時代が事実上終焉を迎えることになる。ゲームライターの渡邉卓也氏は「これからの子供たちは『ゲームのディスク』を知らない世代になるだろう」と指摘する。
ディスク生産終了の背景
かつてファミリーコンピュータの時代には、ゲーム専門店が存在し、パッケージ版を手に取るのが当たり前だった。しかし、そうした店舗は減少し、家電量販店での取り扱いが主流になった。現在、Nintendo Switch 2では一部のタイトルが「キーカード」形式で販売されている。これはカード内にゲームデータが入っているわけではなく、ダウンロード版を入手するためのコードに過ぎない。実質的にはDL版であり、パッケージ版の形を借りたデジタル販売と言える。
昨今のビデオゲームは発売後にアップデートが当たり前となり、インターネット接続が必須となっている。ソニーにとってディスク生産の手間が省け、利益も大きくなることから、DL版のみに舵を切るのは自然な流れだ。
DL販売に伴うデメリット
DL版は便利だが、デメリットも存在する。まず、ゲームソフトを販売する実店舗が縮小する。日本ではシェアの少ないXboxがすでにDL販売主流となっており、家電量販店での取り扱いが減少している。PlayStationも同様の傾向をたどる可能性が高い。DL版コード入りのパッケージ版を販売する余地はあるが、店頭での宣伝効果は薄れるだろう。
一方、任天堂はキーカードやamiibo(フィギュアにデジタル特典を付けたもの)を流通させ、実店舗での接触を維持しようとしている。PlayStationは任天堂よりもDL版比率が高いため、実店舗販売を切り捨てる決断は驚きをもって受け止められている。
Steamとの差別化が困難に
PlayStationがDL版オンリーになると、世界最大のPCゲーム販売プラットフォーム「Steam」との差別化が難しくなる。家庭用ゲーム機のスペックが向上するにつれ、ゲーミングPCとの差は縮まっている。ソニーは独占タイトルを他機種に移植しない方針で差別化を図っているが、デジタル販売プラットフォームとしては両者に大差はなく、ゲームタイトル数ではSteamが優位に立つ。
所有権の変化
DL版の購入はあくまで一時的な所有権に過ぎない。ユーザーはゲームを「所有」するのではなく、利用ライセンスを購入しているにすぎない。パッケージ版であれば中古販売や譲渡が可能だったが、DL版ではそれも制限される。この変化は、ゲーム業界全体のビジネスモデルに大きな影響を与えるだろう。



