ノークリサーチは、中堅・中小企業向けERP市場が今後3年間で5367億円規模に達するという見解を発表した。経済産業省が2018年に初の「DXレポート」を公開した頃から、ERPはSoR(System of Records)の代表格になり、レガシー化したIT資産と見なされるようになった。
中堅企業でリプレースが新規導入を上回っている理由として、導入済みERPにおける課題があるとノークリサーチは指摘する。AI時代に浮上したERPの課題とは何か。
中堅企業におけるERPの課題とは?
企業のAI活用の焦点は、インターネットでの情報収集から社内に蓄積されたデータの有効活用へと移りつつある。こうした中、生成AIやAIエージェントの導入で成果を上げるには社内データの整備が欠かせず、その過程でERPのリプレースや新規導入が活性化する可能性があるとノークリサーチはみている。
今回の調査は、国内の中堅・中小企業(年商500億円未満)1300社を対象に実施された。リプレースは2396.1億円、新規導入は2970.9億円、両者の合計は5367.0億円に達する(図1)。
図1 中堅・中小企業におけるERPのリプレース/新規導入の市場規模予測(出典:ノークリサーチのプレスリリース)
同社は、小規模企業では新規導入がリプレースを大きく上回っており、今後はERPの裾野が広がると予測する。中小企業では、新規導入がリプレースをわずかに上回っている。一方、IT活用が既に進んでいる中堅企業では、リプレースの方が新規導入よりも大きい。
導入済みERPの課題とAI活用の関係
中堅企業が抱える導入済みERPの課題をベイジアンネットワーク分析で可視化した結果が図2の左図だ。さらに、リプレースの発生に最も大きく影響する課題を分析した結果が図2の右表である。
図2 中堅企業においてERPリプレース/新規導入の発生要因となる課題の分析(出典:ノークリサーチのプレスリリース)※この図の下に、左右をそれぞれ拡大した図を掲載
図2の左図拡大:課題のベイジアンネットワーク分析結果(出典:ノークリサーチのプレスリリース)
図2の右表拡大:最も大きく影響する課題(出典:ノークリサーチのプレスリリース)
これらの課題のうち、例えば「自社にはシステム化できない業務も多く存在する」という課題を解決しないままAI活用を進めると、「AIでは業務の連携における問題点を検知できない」「AIが提示する結果が本当に正しいか判断できない」「AIが自動で行う処理内容が分からず、不安である」といった課題が連鎖的に顕在化する。
ノークリサーチは、中堅企業におけるAI活用について、ERPリプレースを通じてシステム化されていない業務の整備に並行して取り組むことが肝要だと分析する。
なお、本記事は同社の調査レポート『2026年版 中堅・中小企業におけるERPのリプレース/新規導入を促進する要因と市場規模予測レポート』のダイジェストを基にまとめた。



