調査会社Synergy Research Group(以下Synergy)は、2026年第2四半期における企業のクラウドインフラサービス支出が、前年同期から430億ドル以上増加し、1434億ドルに達したと発表した。前年同期比の成長率は43%で、過去8年間で最も高い伸びとなる。この成長は11四半期連続での増加となる。
生成AIが市場を牽引
成長をけん引しているのは生成AIだ。成長率が上向き始めた時期は生成AIの登場直後に当たり、この11四半期で市場規模は2倍になった。Synergyでチーフアナリストを務めるジョン・ディンズデール氏は「AI技術がクラウド市場に火をつけた」と述べ、生成AI専用のクラウドサービスが前年同期比165%増で伸びていることを挙げた。同氏は、AIが他のクラウドサービスの機能拡張と成長にも波及している点も重要だと指摘する。
シェアはMicrosoft 20%、Google 15%、AWSは?
事業者別では、AWS(Amazon Web Services)が28%で首位を維持した。ただし、成長率ではMicrosoft(20%)とGoogle(15%)が上回る状況が続いている。
同市場はIaaS、PaaS、ホスティング型プライベートクラウドを含む。このうち大半を占めるパブリックのIaaSとPaaSは、第2四半期に47%増と全体を上回るペースで伸びた。パブリッククラウドに限ると上位3社のシェアは67%に達し、寡占の度合いはさらに強い。直近12カ月の売上高は5000億ドルに達した。
上位40社のうち9社が「ネオクラウド」
一方、その下の階層では、これまで「クラウド事業者」とは呼ばれてこなかった企業が上位に入り始めている。第2階層のクラウド事業者で成長率が高いのは、CoreWeave、OpenAI、Oracle、Crusoe、Nebius、Anthropic、Scaleなどだ。クラウドインフラサービスの売上高で見ると、GPU基盤を提供する新興「ネオクラウド」9社が上位40社に入った。
【解説】ネオクラウドとは AI処理に使うGPUの提供に特化した新興のクラウド事業者。広範なサービスをそろえるAWSやMicrosoft、Googleといったハイパースケーラーに対し、GPU計算資源の貸し出しに事業を絞っているのが特徴で、「GPUaaS」とも呼ばれる。CoreWeaveやNebiusなどのスタートアップに加え、暗号資産のマイニングから転じた事業者も多い。
AIモデルの開発企業として知られるOpenAIとAnthropicが、クラウドインフラの売り手として同じ土俵で集計されている点は、AIの計算基盤とクラウドサービスの境界があいまいになりつつある現状を示している。
地域別ではインド、アイルランドなどが成長
地域別では、すべての地域で成長が続いた。現地通貨ベースで世界平均を大きく上回ったのは、インド、インドネシア、アイルランド、タイ、マレーシアだ。
米国は依然として最大の市場で、その規模はアジア太平洋地域全体を大きく上回る。第2四半期の米国市場は49%増と、世界平均を上回った。欧州では英国とドイツが最大の市場だが、成長率が高かったのはアイルランド、ノルウェー、デンマーク、フィンランドだった。
ディンズデール氏は、直近2四半期で世界市場に占める米国の比率が高まっている点にも触れ、ハイパースケーラーとネオクラウドの双方による米国内のインフラ増強が背景にあるとの見方を示した。



