NTTは、次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の構想を本格化させている。光回線と無線を統合し、5G時代の通信インフラを根本から変革する狙いだ。同社は2025年までの商用化を目指しており、既に実証実験を開始している。
IOWNの核心技術
IOWNの最大の特徴は、光技術を活用した超低遅延・大容量通信の実現にある。従来の電気信号を使った通信に比べ、光信号は処理速度が格段に速く、消費電力も低い。NTTはこの技術を無線通信にも応用し、基地局から端末まで一貫した光ネットワークを構築する計画だ。
具体的には、光ファイバー回線を各家庭や企業まで直接引き込む「FTTH」に加え、無線アクセス網にも光技術を導入。これにより、遅延を1ミリ秒以下に抑え、データ転送速度は現在の100倍以上を目指す。
5Gとの連携
IOWNは5G通信の可能性をさらに拡張する。5Gは高速大容量だが、基地局のカバレッジが狭く、光回線との接続が課題となっていた。IOWNはこの課題を解決し、5Gのポテンシャルを最大限に引き出すと期待される。
NTTの担当者は「IOWNは単なる通信インフラのアップグレードではなく、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを支える基盤になる」と述べている。例えば、自動運転や遠隔医療、VR/ARなど、リアルタイム性が求められるサービスへの応用が想定される。
商用化への道筋
NTTは2025年を目標にIOWNの商用サービスを開始する計画だ。まずは法人向けからスタートし、その後一般消費者向けに拡大する見通し。既に、東京都内で実証実験を実施しており、2024年には大規模なトライアルを予定している。
また、IOWNの普及には国際標準化も重要だ。NTTは海外の通信事業者とも連携し、グローバルな標準規格の策定を推進している。同社は「IOWNを世界標準にすることで、日本発の技術を国際的に展開したい」と意気込む。
競合との比較
IOWNは、米国や中国の大手IT企業が進める次世代通信技術と競合する可能性がある。例えば、米グーグルやマイクロソフトは、自社のクラウドサービスと連携した通信インフラを開発中だ。しかし、NTTは光技術の分野で長年の研究実績を持ち、差別化が可能と見ている。
専門家は「IOWNは日本が世界に誇る技術革新の一つ。成功すれば、通信業界のゲームチェンジャーになる」と評価する。一方で、巨額の投資が必要であり、収益化の道筋が不透明との指摘もある。



