日本の第5世代移動通信システム(5G)の基地局整備が、諸外国と比較して大幅に遅れていることが、複数の調査で明らかになった。この遅れは、日本の国際競争力に深刻な影響を及ぼす可能性があると専門家は警告する。
基地局数で世界と差
総務省のデータによると、2024年3月末時点の日本の5G基地局数は約5万局で、人口カバー率は約90%に達した。しかし、韓国は約23万局、米国は約10万局、中国は約350万局と、日本は大きく引き離されている。特に、中国の基地局数は日本の70倍に上る。
「日本の5G整備は、世界のトップランナーから大きく遅れを取っている」と、東京大学の教授は指摘する。「基地局の整備は、単なる通信インフラの問題ではなく、自動運転や遠隔医療、スマートファクトリーなど、次世代技術の基盤となる。この遅れは、日本の産業全体の競争力低下につながりかねない」と警鐘を鳴らす。
周波数割り当てと規制が課題
日本の5G整備が遅れている背景には、周波数割り当ての遅さや、基地局設置に関する規制の厳しさがある。日本では、5Gに使用する周波数帯の一部が、防衛省や気象庁など他の用途で使用されており、その調整に時間を要している。また、基地局設置には、電波法に基づく厳格な審査や、自治体との調整が必要で、これが整備の足かせとなっている。
さらに、日本の通信事業者間の競争が、基地局整備の投資にブレーキをかけている面もある。各社が独自に基地局を設置するため、重複投資が発生し、効率的な整備が進まない。
政府の支援拡大と規制緩和が必要
こうした状況を打破するため、政府は2023年度補正予算で、5G基地局整備に対する補助金を拡充した。しかし、専門家は「さらなる規制緩和と、周波数割り当ての迅速化が必要」と訴える。
「政府は、基地局設置に関する許認可プロセスを簡素化し、事業者がより迅速に整備を進められる環境を整えるべきだ」と、経済産業省の参与は述べる。「また、周波数割り当てについても、国際的な調和を図りながら、より柔軟な運用が求められる」と指摘する。
今後の展望
日本政府は、2025年度までに5G基地局を約12万局に増やす目標を掲げている。しかし、現状のペースでは目標達成は困難との見方が強い。通信各社も、投資の採算性に課題を感じており、政府のさらなる支援が不可欠だ。
「5Gは、日本経済の未来を左右する重要なインフラだ」と、アナリストは強調する。「政府と事業者が一体となって、整備を加速させる必要がある。さもなければ、日本はデジタル競争で取り残される恐れがある」と警告する。



