大相撲夏場所12日目は21日、東京・両国国技館で行われ、2場所連続優勝を狙う大関復帰の霧島は新関脇琴勝峰をはたき込み、不戦勝の琴栄峰とともに2敗で首位を守った。小結若隆景は豪ノ山を突き落とし、平幕の義ノ富士、宇良も9勝目を挙げた。首位の2人を1差で追うのは若隆景、義ノ富士、宇良、翔猿の4人となった。
宇良、正攻法で藤凌駕を圧倒
誤解を恐れずに評すなら、多彩な業師らしからぬ正攻法が際立った。33歳の宇良が10歳年下の藤凌駕との3敗対決で圧倒し、優勝争いに残った。取組前から全身に浴びた歓声は、より大きな音量になって勝ち名乗りを受ける自身に戻ってきた。真っすぐ踏み込んで当たった瞬間、右を差し、左ものぞかせる。突き押しを武器とする入幕2場所目の新鋭の上体を起こすと、密着しながら体を寄せ、土俵際まで追い詰める。片足立ちで不安定な体勢にさせたところで、右からすくい投げ。何事もなかったかのような涼しい顔だった。
取組を終えて支度部屋に戻ると、取り口や初顔の相手への対応などを問う報道陣に、「何も考えていない」とけむに巻いた。体重で42キロも重い相手に主導権を渡さなかった動きの良さには、「何も考えていない」と謙遜した。
師匠の木瀬親方「若い衆の教科書みたい」
場所前の鍛錬が白星に現れている。春場所後からほぼ1カ月間に及んだ春巡業。体の状態を考慮しながら、毎日のように関取衆との申し合いに参加した。1日で30番近く相撲を取る日もあった。「思いのほか(の番数)だった」。稽古に集中できていた証しだろう。
師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は「その結果が出たんじゃないか。若い衆の教科書みたいな感じだから」と目を見張る。角界屈指の人気力士。サインや写真撮影の求めに丁寧に応じた。本場所で会えないファンにも届ける勇姿は、巡業に同行する親方衆からも高く評価されている。
人気と実力を兼ね備えた宇良は、優勝争いについての質問にも興味を示さなかった。まだ今場所は3日間、残っている。そう言いたげに、受け答えを一通り終えると、足早に風呂場へ向かった。



