カンボジア北西部ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件の摘発から1年となるのを前に、愛知県警は21日、拠点内部の画像を公開し、詐欺の実態を明らかにした。公開された防犯カメラ画像には、企業のオフィスを思わせる広い空間に事務机が何列も並び、日本人の「かけ子」を監視する中国人の席も確認できる。
拠点内部の詳細
県警組織犯罪特別捜査課によると、一つのフロア内で通信事業者役や警察官役などの役割ごとに場所が分かれていた。中央などには防音加工が施された個室ブースが約20設置され、日本国内のターゲットに電話がつながると、警察官役はブースに入り、「マネーロンダリング事件に関与している疑いがある」などと通話で説明していた。
AIルームの悪用
フロアの隅には「AIルーム」と呼ばれる部屋があり、警察官役が生成AIで自身の顔を加工した上でビデオ通話に登場し、相手に本物の警察官だと信じ込ませていた。「長野県警察本部」と書かれた偽の看板や帽子も押収された。フロアにはウオーターサーバーや弁当置き場も用意され、長時間の作業を可能にしていた。
拠点の規模と最近の傾向
拠点内には同様のフロアが複数あり、別の日本人や外国人らが詐欺を続けていたとされる。海外拠点を巡っては、ポイペトと同様に大規模施設を構える例が大半だったが、最近は当局の目を逃れるため、客室に少人数で潜伏する「ホテル型」に移行しているとみられる。県警が摘発したミャンマーや中国の拠点でもAIの悪用が確認され、同課幹部は「このままAIの進化が続けば、より少ない人員でほぼ自動で詐欺を完結できるのではないか」と危機感を示した。
現地当局が昨年5月27日にポイペトの拠点を摘発し、愛知県警などはこれまでに現地にいた日本人の「かけ子」29人のほか、リクルーターらを逮捕している。



