サッカー日本代表は、2026年W杯のチュニジア戦を目前に控えている。オランダ戦を引き分けたチームは、難敵とされるチュニジアにどう立ち向かうのか。本稿では、鎌田大地選手の特異な能力と、グループリーグ突破における戦略的課題を掘り下げる。
鎌田大地:傑出した戦術眼と創造性
鎌田大地は、過去の日本代表選手と比較しても傑出している。技術、体力、戦術に恵まれたコンプリートな選手であり、華々しいファンタジスタでありながら、効率的なリンクマンとしても機能する。かつて同じ領域にいた本田圭佑は、単純なフィジカルに頼る面があり、強靱な反骨心で才能を燃やしてプレーしていた。一方、鎌田の自然体は「歩くように走る」と評され、そのふてぶてしい表情も相まって、やる気がなさそうに見えることもある。
現役ではクロアチア代表のルカ・モドリッチに近いかもしれない。時間を操り、空間を作るという、一流のボールプレーヤーだけが持つ戦術眼と創造性に恵まれている。ボールの置き所をわずかに変えるだけでプレーの選択肢を増やし、最善の判断ができるため、受け手に余裕を与えられる。
最適なポジションと役割
鎌田が最も力を発揮するのは、アンカーとトップ下の間のポジションだろう。ボールを引き出しながら持ち運ぶこともでき、ライン間にパスを打ち込んでゲーム全体の舵を取れる。特にピッチやや左に落ちながら、相手のギャップのポジションを絶妙に取り、視野を確保しつつチームに推進力を与えることを得意としている。ライン間の魔術師ぶりは佐藤龍之介も共通する異能を持つが、鎌田のスケール感は別格だ。チュニジア戦でも中央左でチームを動かし、守りのズレを引き起こし、攻撃をリードできるはずだ。
森保ジャパンのW杯優勝宣言と現実
森保一監督は「W杯優勝」を宣言したが、筆者は「地に足をつけてベスト8への道筋を探るべき」と主張する。ベスト8でさえ、そびえ立つ長城に挑むようなものだ。筆者はミラノ・コルティナ五輪も現地で取材しており、日本は史上最多24個のメダルを勝ち取ったが、アイスホッケー女子は目標のメダルに届かなかった。スマイルジャパンと呼ばれる日本代表は4年間で目に見えて強くなり、「北京五輪の最高位ベスト8を超えられる」と意気込んでいたが、現実は厳しかった。
グループ突破の戦略:3位では不十分
日本がグループリーグを3位で突破するだけでは絶対にダメだ。その理由は、3位突破が決勝トーナメントで強豪との対戦を避けられないからである。グループリーグでの順位がその後の対戦相手を左右するため、上位進出には2位以内、理想的には1位突破が不可欠だ。チュニジア戦はその鍵を握る一戦であり、鎌田の活躍が勝敗を分けるだろう。
各国も強くなってきており、日本がW杯で深く進出するためには、個の力と組織力の両立が求められる。鎌田のような選手の存在は心強いが、チーム全体の戦略が重要である。



