発生から1カ月を過ぎた熊本地震は断水が続くなど、現在も2000人以上が避難生活を続ける。災害関連死が疑われる事例は25日時点で2人。発生から数日後には資機材が行き届いたことを評価する向きもあるが、猛暑の中で生活用水が不足し、被災自治体が対応しきれない場面もあった。災害のたびに問題視されてきた「体育館での雑魚寝」は、今回も解消できたとは言い難い。
物資は行き届くも、トイレカー受け入れ断る自治体
現地入りした内閣府関係者は「過去と比べても物資は随分と行き届いた。現地は思った以上に落ち着いている」と話す。懸念された猛暑の影響は、冷房のための電源車や飲料水が早期に提供され、現在まで大きな問題にはなっていない。
政府が自信を深めた要因は他にもある。令和6年の能登半島地震で不足したトイレ環境は、今回は発生4~5日後には仮設トイレが行き渡った。災害時に活用可能な車両をデータベースに登録する「災害対応車両検索システム」が昨年6月に整備されていたことで、事前登録されたトイレカーを多数集結させることができた。
猛暑と臭い、高齢者の利用課題
ただ、仮設トイレは暑さと臭いで使用が難しいとの指摘もあった。被災した八代市では、くみ取り作業の対応力を超えることを理由にトイレカーの受け入れを一時断り、災害対策本部は急遽、民間組織の協力で支援体制を整える状況もあった。八代市は生活用水の不足を理由にシャワーユニットも一時断った。
トイレカーが多数あっても、排泄設備がある荷台へと上がる階段の昇降が困難な高齢者が使いにくいなどの運用面の課題も残した。能登半島地震後に改良された物資一元管理システムは今回初めて活用されたが、自治体や避難所からの入力が低調だった。内閣府関係者は「現場とのコミュニケーションが十分取れたとは言い難い」と振り返る。
見えない避難者への支援課題
一方、氷川町に入る支援団体のスタッフは、車中泊や在宅避難者を把握できていないことを懸念する。「災害弱者ほど在宅避難を選ぶ。見えない避難者が多数いる。支援の手は本当に必要な人に届いていない」と話す。



