横浜雙葉中学高等学校(横浜市)では、中学3年生と高校1年生の英語リーディング授業を、ネイティブの教員がすべて英語で指導している。「英語を英語で理解する」教育の一環で、日本語を介さないことで内容理解が速まり、生徒が自ら英語を話そうとする能動的な姿勢が育つという。7月2日、高校1年生の授業を取材した。
すべて英語で進む授業
「How are you today?」――イギリス人専任教員のサイモン・ラック教諭は、英語のあいさつから授業を開始。高1生27人を対象に、新出単語の意味も英語で解説する。授業は3段階の習熟度別で、中3と高1の最上位レベルをネイティブ教員が担当。教科書に沿いつつ、ラック教諭が作成したオリジナルプリントを使用し、新出単語の例文や本文に関する英語の質問を生徒が書き込む形式だ。
さらに、教科書の内容を漫画化した冊子も今年度から導入。ラック教諭がAIを活用して作成したもので、生徒は文字を追わずに絵で内容を理解し、頭に浮かんだことを言葉で表現する練習ができる。
生徒が発話する機会を重視
授業では、生徒が立ち上がって2人組になり、事前に考えた質問をし合う時間も設けられた。ラック教諭は「日本語に直すプロセスを省略することで、内容理解が速まります。私が話すのを聞きながらリスニング力を付け、自分から話そうという姿勢も養われます」と英語指導の利点を語る。
中3では日本語も交えるが、高1では英語のみ。話すスピードを徐々に上げ、生徒が英語でのやり取りに慣れるように工夫している。「指名すると『間違ったら恥ずかしい』と答えるのが怖くなるので、指名はしません。答えが出ないときはヒントを与え、間違っても『ノー』とは言わずに『別の答えはあるかな』と促します。これを続けることで、生徒は安心して話せるようになります」と説明する。
英語で考える力を育む
「英語を英語で理解する」教育は、ラック教諭が2015年に同校初のネイティブ専任教員として赴任した際に始まった。英語科主任の野末喜世子教諭は、「キリスト教のミッションスクールとして、受験のためだけでなく、世界の文化を理解し、臆せず英語でコミュニケーションを取って他者に貢献できる人材を育てたいと考えました。そのためネイティブ専任教員を採用し、グローバル教育を強化しました」と話す。
現在、英語科教員20人のうち4人がネイティブで、英会話授業のほか英検の面接対策講座も担当。これらの授業で鍛えた英語力は、シンガポール・マレーシア、カンボジア、アメリカ、オーストラリアなどの海外研修で発揮されている。
高1の山嵜柚香さんは「最初は戸惑いがあったが、今では自然に英語で聞いたり話したりできるようになりました。サイモン先生は雑学も交えてくれて授業が楽しいです」と話す。渡邉百合亜さんは「他の授業は座って聞くことが多いが、サイモン先生の授業は自分から話したり立って英語でやりとりしたり、とても能動的に取り組めます。マンガのおかげで長文も和訳に頼らず、イメージでとらえられるようになりました」と語った。
成果は模試や進路にも
授業の成果は校内の大学入試模試にも表れ、リーディングだけでなくリスニングの得点も向上。ラック教諭の授業をきっかけに英語教師を目指し、CLIL(内容言語統合型学習)を大学で学ぶ卒業生もいるという。
野末教諭は「ネイティブ教員の指導を受けてから、生徒は明らかに英語でのコミュニケーションに積極的になっています。英語で考え、英語で発信する力が付いています。これからも、身近なことから世界の諸問題まで英語で取り組む力を伸ばしていきたいです」と締めくくった。



