文科省が是正指導の同志社国際高校、なぜ異論出なかった?教員の相互不干渉問題
文科省是正指導の同志社国際高、異論出ぬ理由

3月16日に沖縄県名護市の辺野古沖で発生した、同志社国際高等学校における研修旅行中の重大事故について、文部科学省が教育基本法違反として是正指導を行ったことが、様々な議論を呼んでいる。政治的中立性を巡る評価は識者間で分かれるものの、安全対策に関しては船の運営側に加え学校側にも深刻な問題があった点で見解は一致している。同校および学校法人も、現時点では安全上の問題で争う姿勢を見せていない。

なぜ異論が挟まれなかったのか

教育現場で問題が発生した際、なぜ誰も異論を唱えなかったのか。この問いは、今回の事故に限らず多くの学校で共通する課題を浮き彫りにする。文科省と京都府は5月22日、事故に関する把握状況と見解を整理した文書を公表した。そこでは、研修内容の政治的中立性だけでなく、安全計画の不備が指摘されている。

一般社団法人ライフ&ワーク代表理事でOCC教育テック大学院大学教授の妹尾昌俊氏は、「就職から退職まで同じ学校で勤務する教員が多い日本の学校文化が、相互不干渉を生みやすい」と指摘する。異動が少ないため、同僚や上司への意見を控える風土が醸成され、結果としてリスクが見逃されがちになるという。

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「就職から退職まで同じ学校」の弊害

日本の教員は、同じ学校に長期間勤務するケースが多い。この閉鎖的な環境では、内部の人間が問題を指摘しにくくなる。妹尾氏は、神戸市で起きた「激辛カレー事件」を例に挙げる。これは、学校行事で提供された激辛カレーにより児童が体調不良を訴えた事件で、教員間の連携不足やリスク認識の甘さが背景にあった。

同志社国際高校でも、研修旅行の計画段階で安全面の懸念が共有されなかった可能性がある。文科省の指導内容には、事前の安全確認や緊急時対応の不備が含まれており、学校内で異論を出す仕組みの欠如が事故につながったと見られる。

相互不干渉な職場文化

日本の学校には、「対立を避ける」文化が根強い。教育上の意義を強調するあまり、リスクやマイナス面が見えづらくなる傾向がある。妹尾氏は「対立を恐れる組織」と「対立から学ぶ組織」の違いを指摘し、後者の文化を育てる必要性を訴える。具体的には、定期的な意見交換の場や、外部の視点を取り入れる仕組みが重要だという。

今回の事故では、教員が互いに干渉しない「相互不干渉」の職場風土が問題視されている。文科省の調査に対し、同校の教員からは「他の教員の担当に口出ししにくい」との声も聞かれた。このような文化が、安全対策の不備を看過した可能性は否定できない。

教育上の意義とリスクのバランス

教育活動には常にリスクが伴うが、それを軽視してはならない。特に校外学習では、安全計画の策定と教員間の情報共有が不可欠だ。妹尾氏は「教育効果を最大化するためには、リスクを認識した上で適切な対策を講じる必要がある」と述べる。

文科省の是正指導は、同校だけでなく全国の学校に対して安全意識の再確認を促す契機となるべきだ。今後、第三者機関による検証が行われる予定であり、その結果を踏まえた具体的な改善策が求められる。

対立を恐れず学ぶ組織へ

学校が安全で効果的な教育を提供するためには、内部で自由に意見を言える風土が不可欠だ。妹尾氏は「対立を避けるのではなく、建設的な議論を通じて問題を解決する組織文化を育てるべき」と強調する。そのためには、管理職のリーダーシップや教員研修の充実が鍵となる。

同志社国際高校の事故は、多くの学校にとって教訓となる。相互不干渉ではなく、互いに意見を述べ合い、より良い教育を目指す姿勢が求められている。

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