次期学習指導要領で情報教育が大幅に拡充されることに対し、教育専門家からは「画期的」との評価がある一方、実現にはいくつもの障壁があると指摘する声が上がっている。
専門教員の確保が最大の課題
文部科学省は「新教科・領域に係る条件整備は国が責任を持って進めなければならない」と述べているが、専門性の高い教員の確保は最も基礎的な条件整備であり、これが実効性を伴わなければ、理念の高い学習指導要領も画餅に終わる恐れがある。
教育課題の複雑化で余裕はすぐに消える
現在の小中学校では、特別支援や不登校、いじめ、日本語が困難な子どもなどへの個別ケアが重要になっている。調整授業時間で生み出した余裕も、こうした対応に追われてすぐに吹き飛ぶ可能性があり、教員以外の支援スタッフの確保も重要な課題だ。
学力低下論への説明責任
これまで学力テストの結果が芳しくない地域では、授業時間を増やす方向に舵を切る例が多かった。授業時間を減らすことに対して「学力低下しかねない」と声高に叫ぶ人は少なくなく、文科省には研究開発校の事例など、学力低下を防ぐための知見や参考情報の提供が求められる。
また、家庭環境による格差拡大の懸念もある。放課後の過ごし方が自由になるだけでは、塾や受験対策を行う家庭の子どもとそうでない子どもの間で、学力差が広がる可能性がある。調整授業時数制度などを活用し、学校で個に応じた指導を充実させるとともに、地域の力を借りて子どもの好奇心を高める活動を促す方策が必要だ。
文科省の検討について、手放しで喜べる状況ではなく、警戒や注視が必要な点は多い。一方で、調整授業時数による学校裁量の拡大や教科書の精選など期待できる面もある。楽観も悲観もせず、文科省の役割を注視しつつ、文科省だけに依存しない姿勢が重要である。



