政府は、2025年度から小学校の全学年で、1学級あたりの児童数を40人から35人に引き下げる「35人学級」を導入する方針を固めた。現在は小学2年生までが対象だが、段階的に拡大し、2025年度には全学年で実施する。少子化を踏まえ、一人ひとりにきめ細かな指導ができるようにするのが狙いだ。
背景と経緯
35人学級は、2021年度から小学2年生を対象に先行導入され、2022年度には小学1年生にも拡大された。政府は2023年度から小学3年生、2024年度から小学4年生に順次拡大し、2025年度に小学5・6年生まで広げることで、全学年での実施を完了させる計画だ。これにより、公立小学校の全学年で35人学級が標準となる。
文部科学省の試算によると、35人学級の完全実施には約1万7000人の追加教員が必要とされる。しかし、教員採用試験の競争率は低下傾向にあり、特に都市部で教員不足が深刻化している。東京都教育委員会によると、2023年度の小学校教員採用試験の倍率は2.4倍と過去最低を記録した。
課題と対策
教員確保のため、政府は教員の処遇改善や働き方改革を進める方針だ。具体的には、教員の残業代を一律で支給する「教職調整額」を現在の4%から10%以上に引き上げる検討や、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)の配置拡充が挙げられる。また、教員免許の更新制度を廃止し、教員の負担軽減を図る。
一方、地方では少子化が進み、既に35人以下の学級が多く存在する。しかし、都市部では児童数が多いため、教室不足や教員確保が課題となる。文部科学省は、自治体ごとの実情に応じた柔軟な対応を求めている。
教育現場の反応
全国連合小学校長会の佐藤会長は「35人学級は児童一人ひとりに目が行き届き、学力向上やいじめ防止に効果が期待できる。一方で、教員の確保と質の維持が重要だ」と述べている。また、保護者からは「子どもへの指導が行き届くようになる」と歓迎する声がある一方、「教員の負担が増えるのでは」と懸念する声も聞かれる。
政府は、35人学級の完全実施に向けて、2025年度の予算案に必要な経費を計上する方針。今後、教員の確保策と併せて、教育環境の整備を進める。



