38歳で東京大学に合格したお笑い芸人のさんきゅう倉田さん(本名・倉田健太)が、浪人生活や受験勉強の経験を赤裸々に語った。横浜育ちで学生時代の成績はオールBだったという倉田さんは、3年間の浪人期間中、1日10時間の勉強を続け、見事東大合格を果たした。
浪人生活の実態と「よかったことはない」という本音
浪人してよかったことを問われると、倉田さんは「なし」と即答。「入れるなら早く入ったほうがいい」と断言する。ただし、東大に落ちて慶應義塾大学への進学を迷っている人には「浪人を勧めます」と付け加えた。浪人自体は決して楽しいものではないが、志望校へのこだわりが強い場合には有効な選択肢だと述べている。
東大入学後、倉田さんは「自分がいかに狭い世界で生きてきたかを感じた」と振り返る。東大は日々学びにあふれた環境で、「似通った賢さや寛容さを持った人たちが集まっているので、その人たちと議論したり知識を共有したりする環境は特別なもの」と語る。物理、化学、法律、心理学など様々な分野の知識を持つ友人から学べることが、東大特有の学び方であり、大きな財産になっているという。
「入りたい理由」を複数持つことの重要性
倉田さんは、受験勉強を続けられた理由として「入りたい理由がたくさんあったから」と語る。目標が一つだけだと、その理由がどうでもよくなった瞬間に勉強しなくなってしまう危険性があると指摘。「理由はいっぱいあったほうがいい。ある理由がどうでもよくなった時でも、別の理由があるから勉強できます」と強調した。
倉田さんの目標の一つは、テレビ番組『家、ついて行ってイイですか?』に出演することだった。「番組によく東大生が登場しているので、出るために入りたかった」という。現在、高校でキャリアやモチベーションの話をする際にも、「なぜここに行きたいのかを自分に問うて、はっきりさせることが大事」と伝えている。
受験勉強で得た「常識」と今後の展望
受験勉強を通して得たものとして、倉田さんは「常識が身に付いた」と答えた。「日光東照宮に家康が祀られていることも、山口県の位置も、アンデス山脈がどこにあるかも知りませんでした。当たり前の地理・歴史の知識が全然なかったので、受験勉強で常識がものすごく身に付いたと感じています」と語る。
現在、東京大学経済学部金融学科4年生の倉田さんは、経営学・マーケティング・管理会計などを学んでいる。今後の展望として、芸人としての仕事にとどまらず、「中小企業の人と関わって、会社の課題を解決する仕事を広げていきたい」と語った。国税局での税務調査経験、芸人としての人との交流、東大での学び――一見バラバラに見えるキャリアが、一本の線として結ばれていく様子が伝わってくる。
「受験したことがなかった」という出発点から38歳で東大に合格した倉田さんの道のりは、スタートラインの遅さよりも「なぜ行きたいか」を明確に持ち続けることの大切さを教えてくれる。



