憲法審査会の緊急事態条項議論、詳細詰めが課題に
憲法審査会の緊急事態条項議論、詳細詰めが課題に

大災害などに備えて憲法に緊急事態条項を設けることについては、概ね与野党の共通認識ができつつあるようだ。だが、制度の詳細については各党の考え方になお隔たりがある。条文案を作成して議論を煮詰めていかねばならない。

特別国会での議論の前進

先の特別国会では、衆院憲法審査会で緊急事態条項の「イメージ案」をたたき台に討議が行われた。「イメージ案」は、与野党の要請で衆院法制局などが作成した。

審査会の議論を踏まえて衆院法制局が条文の基になる文案を作ったのも、それを土台に議論が行われたのも、初めてだ。条文作成に向けて前進したと言える。

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緊急事態条項の内容と各党の立場

2011年の東日本大震災の際は多くの被災地で統一地方選を行えず、特例法を定めて首長や議員の任期を延長した。だが国会議員の任期は憲法で明記されている。任期を延長できるようにするには憲法を改正する必要がある。

憲法には、衆院解散から次の国会までに有事が起きた時に備え、参院の緊急集会の規定がある。ただ、緊急集会の代替機能には限界も指摘されている。国会が十分に役割を果たせるよう、緊急事態条項を設けることは理解できる。

イメージ案は、広範囲に及ぶ災害などが発生し、国政選挙の実施が「相当程度長期間にわたり困難」な場合、国会の承認を経て議員の任期を延長できることとした。

自民党と日本維新の会、国民民主党は審査会でこの案に賛同した。一方、中道改革連合は任期延長はあくまで例外的な措置だとして、議員任期延長の要件を具体的に示すことを主張した。

与野党で曖昧な部分をどう定義するか、詳細を詰めるべきだ。

9条改正論議と偽・誤情報対策

現行憲法には時代にそぐわなくなっている規定は多い。大国が「法の支配」を踏みにじるなど、戦後の国際秩序は崩壊の危機にある。憲法の平和主義の重要性に変わりはないが、そればかりを唱えていても国の安全は守れなくなっている。

特別国会では、9条を巡り自民が自衛隊の根拠規定を設けるよう改めて主張した。維新は、9条2項の戦力不保持規定の削除などを求めた。中道改革は9条を改正する必要はないと反対した。

厳しい安全保障環境を直視した9条の改正論議も急務だ。

特別国会ではまた、選挙の公正を害する偽・誤情報への対策をSNS事業者に義務づける法整備が行われた。改憲の是非を問う国民投票の際にも、偽・誤情報が氾濫する事態を防ぐ必要がある。

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