能力と器のバランスが組織を左右する
連載『組織の器 なぜ「正しい」取り組みをしても人と組織は変わらないのか?』より、今回はリーダーの資質について深掘りする。多くの企業で見られる「能力はあるが器が小さい人」と「能力はないが器が大きい人」の対比。どちらがより危険なリーダーなのか、組織の専門家が分析する。
能力はあるが器が小さいリーダーの特徴
能力は高いが、周囲を受け入れる器が小さいリーダーは、短期的な成果を上げやすい。しかし、部下の意見を聞かず、独断で進める傾向が強い。その結果、組織内のコミュニケーションが滞り、優秀な人材が離れていくリスクがある。また、自分の能力に驕り、変化を嫌うため、長期的には組織の成長を阻害する。
能力はないが器が大きいリーダーの特徴
一方、能力は低いが器が大きいリーダーは、周囲の意見を積極的に取り入れ、チームの力を引き出す。自分の不足を補うため、優秀な人材を集め、協力を仰ぐ。短期的な成果は見えにくいが、組織の結束力が高まり、持続的な成長が期待できる。ただし、決断力に欠ける場合もあり、迅速な対応が求められる局面では弱点となる。
組織を腐らせるのはどちらのリーダーか
結論として、最も危険なのは「能力はあるが器が小さい」リーダーだ。短期的な成果に目がくらみ、組織の土台を崩すからである。能力が高いだけに、その影響力は大きく、周囲が意見を言いにくい環境を作り出す。結果として、組織は硬直化し、イノベーションが失われる。一方、器の大きいリーダーは、たとえ能力が低くても、周囲の力を借りて組織を成長させる可能性が高い。
理想的なリーダー像とは
理想はもちろん、能力と器の両方を兼ね備えたリーダーだ。しかし、現実にはどちらかに偏るケースが多い。組織のトップは、自らの器を広げる努力を怠らず、また、能力を過信しないことが重要だ。また、採用や昇進の際には、能力だけでなく、器の大きさも評価基準に加えるべきである。
組織の健全な発展には、リーダーの資質が大きく影響する。本稿が、リーダーシップを見直すきっかけとなれば幸いだ。



